<アラサー処女妻、妊活はじめました(4)>「普通」のことが「普通」にできない私
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BW_machida

2021/03/04

2月25日発売の実話コミックエッセイ『奥さまは処女』。処女のまま26歳で結婚し、処女のまま夫婦間のセックスレスに突入した「うなぎ」さんによるコラムを、本書より抜粋してお届けします。

 

 

前回記事はこちら

【第1回】
【第2回】
【第3回】

 

戦場へひとりで乗り込むような覚悟でした。
あの若武者、ひとりで敵陣に……? しかも丸腰だぞ! って心配する声があちこちで聞こえてきてもいいなって思いましたし、あ、これ、もう歴史スペクタクル超大作ができあがっちゃうな! って思うくらい、私にとっては大ごとでした。

 

初めて行った婦人科で、私の局部は「普通」と診断されました。

 

私はいつも「普通」ではない人間だと思い落ち込んでいたので、 この「普通」という言葉に安心して、喜んで、宴を開いて、乾杯して、舞でも踊り狂っていいんじゃない? 得意の『恋』ダンスや『パプリカ』も踊っちゃえよ! って感じなんですけど。
このときばかりは、しっくりこなくて。

 

いや、異常がなくて本当によかったんですけど。

 

涙が止まりませんでした。
涙を目に溜めたまま、受付でお会計を済ませました。
受付のお姉さんは戸惑っていました。

 

私はやっぱり、 「入らない」理由がほしかったのかもしれません。

 

膣の構造上、性交渉は難しいよね! 人より膣の幅が細めだよね! 処女膜硬めだよね! とか、この処女がすごい! 婦人科医が本音で選んだ処女ランキング第1位! 処女大賞受賞! 各賞総なめ! とか言われたほうが、気持ちが楽になれた気がします。

 

体は「普通」なのに、「普通」の人たちがしている「普通」のことができない。

 

「普通」という言葉にとらわれて、勝手にみじめになっていました。

 

だからもう、不妊治療しかないと思ったわけで。
思い切って不妊治療専門クリニックに電話したのですが、電話口の看護師の威圧的な態度に圧倒され、ひるんでしまいました。

 

どうやら処女が、ふらっと立ち寄るところじゃないっぽい! と瞬時に悟りました。

 

実は、 別のクリニックへも電話をかけていたのですが、 不妊治療の予約がいっぱいで、 初診は1か月前から予約が必要とのことでした。
予定が立てられなかった私は、予約することもなく電話を切ったのでした。

 

子どもがどうしても欲しくて、真剣に治療に取り組んでいる人がもっとたくさんいるのに。
仕事を優先させている私には通院する資格がないのかもしれない。
私は甘えているだけなのかもしれない。
妊活しようにも、スタートラインにすら立てていない。

 

自分を責める感情ばかりがわいてきました。

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奥さまは処女

奥さまは処女

うなぎ(原作) 梅林イクミ(漫画)

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