今だから考える、自分にとって大切なコト|槇村さとる
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BW_machida

2021/06/28

 コロナ禍のもと、生活様式は様変わりし、今まで忙しさの底にかくれていた私という人間の存在を確認したり、家族との関係や他者という人々との絆や言葉のやりとりや言外から伝わる思いや温かさ冷たさなど、眠れない夜に思います。
 自分にとって大切なコト。人。時間。などを思いつく順に書き出すと、うしろの方は、もうコレ、いらないかも…と気付いたり、ハハハ。
 そんな「私の大切リスト」を目の前に置き他人のようなクールな目でながめると
「ああこのリストを書いた人は(自分のコトだけど)○○が大事な人なのだなァ」と自分を冷静に見ることができる。
「つまり、この人のねがい欲望は××したい人ってことだ」とわかります。

 

 私は50年近く漫画を描くという仕事をしています。職業的な要請として、常に、主人公の望み、欲望も抑えておかなければなりません。
 描くという行為の恐ろしい所は、作者の価値観や欲望が主人公を通してモロに出て、外にばれてしまうことです。
 だからホントに考えざるをえない。
 人を押しのけて、蹴落としてでも取りに行きたいものは何か?
 自分に嘘をついてでも合理化して、やらかすくだらないこと、見栄を張ったり、下品なクセをやめないのはナゼか?

 

 そんなホントの自分をひたかくしにして生き、自分と似た人を見つけると攻撃しまくるあさましさ。
 根深い劣等感。うらはらな感情を同時に持つコンプレックス。引きさかれる葛藤。すぐ頭をもたげる依存への傾倒。妄想への耽溺……。
 そんな自分の水面下にある欲望は何なの?
 というようなことを、いつもいつも何十年も、考えつづけております。
 考えなしに無意識に描いてしまって、他人にはバレバレで自分だけ自分の欲望に気付かず、「私はそんな人間じゃない!」なんて言うカッコ悪さを避けたいんです、私。それが私のねがい(?)
 マニアックな話でした。

 

 特にクリエーションをしない人であっても、その人の行動、言葉、しぐさ、着るもの、暮らしの全てに、欲望はだだもれしています。
 他者からはよく見えている。
 そしてだれも注意なんかしてくれません。
 ひどければ黙って、黙ったまま人は去って行きます。

 

 自分の「ダメさ」を周りの人も「ダメねえ」と認知していることを、良くわかりあってて、ちょっと許してもらってる関係、ありがとうな関係が良いなァ。それが私の欲望……つまり「甘えたーーい」ってコト?

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