日本の「性の常識」が変わる!? 女性たちの「悩み・本音・叫び」は語る。
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ryomiyagi

2021/06/30

 

著者は女性向け風俗の四十代セラピスト。昼は普通の会社員、夜になればラブホ街が仕事場になる。この本には、これまであまり聞こえてこなかった女性たちの性に対する深刻な悩みと本音、そして叫びが詰まっている。「本当は気持ちよくないけれど、感じている演技をしている」「痛いのを我慢している」「パートナーに性的に満たしてもらうことを諦めた」これまで500人以上の女性を担当してきた著者のもとには、性に悩みを抱えた女性たちがひっきりなしに訪れる。そんな女性たちに応えるため、著者は性交痛改善や感じない膣の感覚改善、膣をほぐすマッサージをほどこし、性行為に問題を抱える女性たちの手伝いをしている。

 

「たくさんの女性たちが同じような性の悩みを抱え、風俗を利用しています。その悩みの原因には、男性側の問題も多くあります。しかし、女性たちはその悩みを、自分の身体に問題があるためだと思い込んでいます。」

 

著者は、性的に満たされていない女性があまりにも多いことや、身体が悲鳴をあげているのにもかかわらず、痛みを我慢しながら行為に及ぶ女性の多さに警報を鳴らす。本来ならパートナーとの絆を深めるものであるはずの性行為が、むしろパートナーとの深い溝を生みだす結果になっているのだ。

 

そうした原因のひとつに、男性の前戯の短さがある。女性側の受け入れ態勢が整っていない状態での挿入は、痛みを伴うことが多い。また、若い女性と閉経した女性とでは膣の状態も異なるから、扱い方に気を配らなくてはならない。そのほかにも、骨盤周りの筋肉や筋のこわばり、血流の悪さなどが痛みを誘発している可能性もある。その場合は、肩をほぐすようにマッサージすることで改善するようだ。

 

先進国ではすでに常識となっている膣ケアが、日本ではあまり知られていないことも女性たちの性の悩みの原因かもしれない。

 

「下半身の毛の処理には意識を向けていても、多くの女性が膣を男性任せにしているのが現状です。そして、男性はAVで学んだガチャガチャとしたやり方で膣を触ってきました。女性の膣は乱暴に扱われ、その結果、性交痛で苦しんでいる女性も少なくありません(性行為で性交痛を招いている女性もいます)。」

 

著者によると、2010年頃から膣ケアに関する書籍が出版されるようになったが、膣を扱う書籍はまだ数冊しかないという。それでも、少しずつだが女性たち膣への意識は高まりつつあるようだ。膣のセルフケアが浸透しはじめ、彼女たちを後押しするように女性による女性のための膣ほぐし・膣ケアのマッサージサロンも見かけるようになった。それに伴い、これまで当たり前と思い込んでいた男性たちからの扱われ方に、女性たちが違和感を抱けるようになってきている。女性たちが自分の身体にもっと優しくなれたなら、この先、日本の性の在り方も変わってくるかもしれない。

馬場紀衣(ばばいおり)

馬場紀衣(ばばいおり)

文筆家。ライター。東京都出身。4歳からバレエを習い始め、12歳で単身留学。国内外の大学で哲学、心理学、宗教学といった学問を横断し、帰国。現在は、本やアートを題材にしたコラムやレビューを執筆している。舞踊、演劇、すべての身体表現を愛するライターでもある。
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