ページをめくるたびに驚きがいっぱい! 英国発、世界的ベストセラーの絵本・2作目|トム・フレッチャー『ほんのなかのドラゴン』
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BW_machida

2022/05/04

『ほんのなかのドラゴン』
トム・フレッチャー/著  グレッグ・アボット/イラスト  いがらし かなこ /翻訳

 

 

「ねえ みて! ほんのなかに たまごがあるよ!」といって揺れ動く、ヒビの入った紫色の卵のイラストから物語がはじまる。しかも白い、水玉模様の卵だ。「ぜったいに ぺーじをめくっちゃ だめだよ……。」と言われたら、めくらずにはいられない。そして案の定、ページをめくると現われたのは、卵から生まれたばかりの「あかちゃんドラゴン」だ。

 

原題は『There’s a Dragon in Your Book』。イギリスの児童文学作家トム・フレッチャーと、イラストレーターでありグラフィックデザイナーでもあるグレッグ・アボットによる本作は、世界的ベストセラーとなったWho’s In Your Book?シリーズの第2作目。前作に登場した青いモンスターはいたずら好きでページを食べたりしていたが、本作の緑色のドラゴンはうっかり者で、人懐っこい印象だ。

 

人懐っこいとはいっても、ドラゴンはやはりドラゴン。「かわいい おはなを くすぐって」みると、大きなくしゃみが出てしまう。しかも、そのせいでページの真ん中を燃やしてしまったから大変。

 

「くしゃみをしたら ドラゴンちゃんのくちから ひがでて ほんがもえちゃった! いそいで ひをけさなくちゃ。」

「ドラゴンちゃんと いっしょに ふーって ひをふきけそう。 きえたかな ページをめくってみて。」

 

真っ赤に燃えたページに、きらきらと火がゆらめいている。息を吹きかけたせいで本のなかは大惨事。ページをパタパタしたり、指ではじいてみたり、大きく息を吹きかけたり。あかちゃんドラゴンと読者の消火作業のはじまりだ。

 

本書には、子どもたちを夢中にさせる仕組みがあちこちに散りばめられている。ページをめくるたびに状況が大きく変化するのも楽しい。消火のために水風船をはじく場面では、見開きいっぱいに水が描かれる。水の激しい勢いに、子どもたちもびっくりしてしまいそう。くしゃみをして、うっかりページを燃やしてしまったドラゴンの、困ったような、ちょっと申し訳なさそうな表情もかわいい。

 

『ほんのなかのドラゴン』
トム・フレッチャー/著  グレッグ・アボット/イラスト  いがらし かなこ /翻訳

馬場紀衣(ばばいおり)

馬場紀衣(ばばいおり)

文筆家。ライター。東京都出身。4歳からバレエを習い始め、12歳で単身留学。国内外の大学で哲学、心理学、宗教学といった学問を横断し、帰国。現在は、本やアートを題材にしたコラムやレビューを執筆している。舞踊、演劇、すべての身体表現を愛するライターでもある。
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