からくりの館に山火事が迫る!

小説宝石 

『紅蓮館の殺人』講談社
阿津川辰海/著

 

『紅蓮館の殺人』は、タイムリミットのある物語。山火事に遭遇した高校生二人が、文豪の館に逃げこむ。だが、救助を待つ間に館に住む娘が吊り天井で圧死する。からくりが仕掛けられた館での死は、事故か殺人か。

 

山火事到達まで三十五時間。真相解明か脱出か、人々の意見は割れる。嘘に敏感で探偵の自覚を持つ高校生が、事件を推理する。一方、過去の経験から探偵であることをやめた人物は、推理より現実に目をむけろという。正しさに関する考え方の違う探偵と元探偵のせめぎあいが、ミステリとしての展開の面白さにつながっている。

 

『紅蓮館の殺人』講談社
阿津川辰海/著

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小説宝石

-syosetsuhouseki-

伝統のミステリーをはじめ、現代小説、時代小説、さらには官能小説まで、さまざまなジャンルの小説やエッセイをお届けしています。「本がすき。」のコーナーでは光文社の新刊を中心に、インタビュー、エッセイ、書評などを掲載。読書ガイドとしてもぜひお読みください。(※一部書評記事を、当サイトでも特別掲載いたします)

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