伝統のミステリーをはじめ、現代小説、時代小説、さらには官能小説まで、さまざまなジャンルの小説やエッセイをお届けしています。「本がすき。」のコーナーでは光文社の新刊を中心に、インタビュー、エッセイ、書評などを掲載。読書ガイドとしてもぜひお読みください。(※一部書評記事を、当サイトでも特別掲載いたします)
2021/10/05
『さみだれ』徳間書店 矢野隆/著 御存じ、保下田の久六殺しから金比羅代参、そして石松の仇討ちとくれば、時代小説ファンなら誰でも心得ている清水の次郎長の一代記だ。ところが、ひょんなことから次郎長の客分となった […]
2021/09/07
『邪教の子』文藝春秋 澤村伊智/著 慧斗は、自分と同じく十一歳の女子である茜の境遇に心を痛めていた。新興宗教に入れこむ母親は、車椅子に乗る茜を学校に通わせず、家族以外と接触させない。それなのに寄付を募るため […]
2021/07/29
『インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー』早川書房 皆川博子/著 十八世紀ロンドン。解剖教室に、奇妙な二体の死体が現れたと思ったら消え、詩人志望の少年の切ない運命と稀覯本の謎が絡む『開かせていただき光栄です』 […]
2021/07/28
『ブレイクニュース』集英社 薬丸岳/著 いまや子供たちの憧れの職業の上位に挙げられるようになったのがユーチューバーだ。品質の良し悪しは別にして、誰もが簡単に映像作品を全世界に向けてアップロードできるようにな […]
2021/07/27
『うかれ十郎兵衛』講談社 吉森大祐/著 喜多川歌麿、東洲斎写楽という浮世絵の代名詞のような絵師を育てたのは、蔦屋重三郎という地本商人で書肆「耕書堂」の主人である。下品な草紙で江戸の話題を集めていた。「蔦重」 […]
2021/06/30
『火車の残花 浮雲心霊奇譚』集英社 神永学/著 赤眼の「憑きもの落とし」浮雲が活躍するシリーズ最新作は、罪人の亡骸を奪い去る妖怪・火車をモチーフとした一篇。小説の中で火車が登場するのは、昭和三十年代に書かれ […]
2021/06/29
この楽しさと非日常感、この懐かしさと切なさ。まるで古き良き遊園地を訪れたかのよう(実際、観覧車なども登場する)。漫画家、イラストレーターとして活躍する日高トモキチの初小説集は、著者の膨大な読書量と知識が遊び心たっぷりに炸 […]
2021/06/28
『檸檬先生』講談社 珠川こおり/著 冒頭で飛び降りの遺体が描写される。彼女はなぜ死んだのか。物語は過去から始まる。小中一貫校に通う小三男子の語り手が、音楽室で中三女子と知りあう。二人はともに、音を色と、色を […]
2021/05/27
『沙林 偽りの王国』新潮社 帚木蓬生/著 一九九五年三月二十日の朝、あちこちの地下鉄で一斉に事件が起こり大混乱となった。後の「地下鉄サリン事件」といわれた前代未聞の毒ガス散布テロだ。この事件以前からきな臭か […]
2021/05/26
『麻倉玲一は信頼できない語り手』徳間書店 太田忠司/著 死刑が廃止されてから二十八年。三河湾に浮かぶ離島・木菟啼島には刑務所と特別拘置所を兼ねた民間施設があり、三十八名の終身刑者とただ一人生存する死刑囚・麻 […]
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