akane
2018/10/22
akane
2018/10/22
アイドルも近いうちに二次元キャラクタで実装できるようになるだろう。
萌芽は以前からあった。
たとえば、1989年の1年間を支配したユニット「Wink」は、二次元的な意匠に満ちていた。陰影を付けないメイク、極端に抑えられた表情、喋らないキャラクタ。
特徴点を抽出した二次元的なデザインはわかりやすく、感情に訴求しやすいのは先に示したとおりだが、アイドルとはそもそも自分の妄想を載せる器である。であるならば、器はできるだけ無色透明で色がついていない方がいい。
Winkは生身の人間が演じることができるぎりぎりのラインを狙ったユニットだった。その方向性を突き詰めていくのであれば、あとは本物の二次元キャラにするしかない。実際、Winkに続く時期にホリプロは、伊達杏子という仮想アイドルをデビューさせている。
個性的なアイドル、というのはテンプレートとしての、妄想の基盤としての個性のことを言っているのであって、本物の個性など誰も求めていない。入社試験で「個性と多様性を求める」という企業が、本当に個性的な人物を取りはしないのと同じ理屈である。
リアルな人間は、どんなに身辺をクリーニングしても、どこかには妄想を台無しにするような過去や要素を持っているし、加齢や引退、業務ドメインの変更もある。その点、二次元キャラは、いつでも同じパフォーマンスを発揮し、世界観を崩す要素は少なく、経年変化も最小限に抑えることができる。
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