akane
2018/04/17
akane
2018/04/17
父とどうしてもうまくいかなくて、悩んでいます。ふだんはいい人なんです。周囲の人たちにもやさしいし。でも、お金がらみのことや、自分の思いどおりにならないことがあると、母と私を口汚くののしります。ときには突然、怒り出すこともあります。日ごろの不満がたまりにたまり、怒りになって爆発するのでしょうか。私もつい言い返して、「悪いことをしたなぁ」と落ち込むこともしばしばです。最近はなるべく、その場を離れるようにしているのですが。
このままでは、お互いに疲れてしまい、よくないですよね。今後、父と仲よくしていくにはどうすればよいでしょうか。
あなたが気づいているように、お父さんは、ふだんは“いい人”でいようと、いろんなことにガマンをしているのでしょう。その小さなガマンが積み重なって、少し気にくわないことがあると爆発してしまう。パンパンに膨らんだ風船が細い針の一突きで割れてしまうように……。お父さんもきっと、そんな自分が情けないような、恥ずかしいようなで、つらい思いをしていると思いますよ。
怒りをぶつけられるほうとしてはたまったものではないのですが、ここは受け流すしかありません。お父さんの気がすむまで怒鳴り散らしてもらえばいいのです。やがておさまります。言い返したりすると、怒りの火に油を注ぐことになるので、「ああ、また始まったな」くらいの気持ちでいてください。
でもね、あなたはすでに解決策を見つけているのですよ。家を出ることができない以上、「その場を離れる」、それがいちばんなのです。あるいは「網になる」。「網」というのは、アメリカインディアンのアジブワ族に伝わる魔除けのお守り「ドリームキャッチャー」のようなもの。お父さんの怒りが網目に引っかかって中に入ってこないまま、やがて消えていく樣をイメージするといいでしょう。網目をスーッと通り抜けていくイメージでもOKです。意外と気持ちが楽になります。
お父さんは70歳前後でしょうか。そのくらいの年齢になると、性格や行動パターンを家族の力で変えるのはほぼムリでしょう。そもそも70年も生きてきた人に、性格を直せというのもちょっとかわいそう。いきなり「今日からイタリア語で話しなさい」と言うようなものなのです。だから「些細なことでキレるのはやめて」と期待するのはやめましょう。悩みというのは期待から生じるものなので、期待を捨てるのも一つの方法です。
あと、気の持ちようとしては、「もはや親と子の立場が逆転した」と認識することですね。実際、お父さんはあなたに甘えているのでしょう。大きな子どもみたいなものですから、そう思えば「しょうがないわね」という気持ちにもなるのではないでしょうか。ふだんのお父さんはいい人なのですから、怒ったときの対処法さえうまくいけば、大丈夫、これからも家族仲よく暮らしていけます。
人は自分の期待通りには動いてくれないもの。
その期待を少しずつはずしていくと、幸福な時間が増えていきます。
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