寒い日に食べたい、心まであったまる熱々おでん【親ごはん第11回】
枝元なほみの親ごはん

両親ともに、おでんが好きでした。

 

「冬ごもりするの?」っていうくらいたくさんのおでんが入った、ペカっとしたアルマイトの大きなお鍋がよく石油ストーブの上にのっていました。

 

普段の暮らしにもちろん、お正月のおせちの隣にも「でん」と構えたおでんが<ここにいますよ!>と主張しているみたいにありましたっけ。

 

そういえば昔は商店街に1軒くらいは「練り物屋」がありました。いろんな種類のさつま揚げやちくわやスジなんかのおでんだねを並べて売っているお店、最近はとんと見かけなくなりましたね。

 

おでんだねやさんだけでなく、豆腐やも魚屋も八百屋も、スーパーが飲み込んじゃったのかしら。スーパーには随分お世話になってますけど、おしゃべりしながら買い物する商店街の楽しみも懐かしいです。そうか、最近ではコンビニがおでん基地になったのかもしれないですね。

 

飾らない普段の暮らしの食べ物だったんですね、おでん。温かいおでんを冬の寒い時期の親ごはんにして、思い出話しに花を咲かせたりできるといいなあ。

 

母の作るおでんは、しょうゆ味でしたけれど、最近の私の定番おでんは塩のみの味付けに行き着きました。スッキリした味にして、とろろ昆布をのせたり、刻みねぎやゆずなどを散らしてちょろっと醤油をかけたり、バターをのせちゃうことなんかもあるんです。

 

「おでん」

 

■材料(作りやすい分量)
大根          1/2本
卵           4~6個
早煮昆布(15cmのもの)   4~6枚
さつま揚げ       1袋
ちくわぶ        1本
はんぺん        1枚
だし(※1)        約2リットル
塩           小さじ4
練りがらし       適宜

 

【1】

だしを用意する

 

鍋にたっぷりの水とだし昆布を入れる。20分以上おいて昆布がふっくらとしたら火にかける。沸いたらたっぷりのかつおぶしを入れてこす。

 

(※1)おでんとなると張り切っちゃう私はここに鶏ガラでとったスープを加えて使います。急ぐ時は、かつおだしに市販の鶏ガラスープを足してもいいです。

 

 

【2】
卵は半熟にゆでて、殻をむく。早煮昆布は水に5~10分つけて柔らかくなったら、結ぶ。

 

大根は厚さ1.5~2cmに切ってから皮をむき、十文字か格子状に切り込みを入れる。鍋に入れ、かぶるくらいの水と米大さじ1(分量外)を加えて強火にかけ、ひと煮立ちしたら15~20分ゆでて、すすいで米を落とす。

 

さつま揚げは湯を沸かした鍋に入れ、1~2分ゆでてざるにあげ、油抜きをする。ちくわぶとはんぺんは食べやすい大きさに切る。

 

 

【3】
1のだしに塩を加えて、はんぺん以外の具材をことことと20~30分、煮るだけ。火を止めて一旦冷ましてから、もう一度温めると味がしみます。全体に味がしみたら最後にはんぺんを加えてさっと煮る。好みで練りがらしをつけていただく。

 

 

※この日は、こんにゃくを買い忘れました……。こんにゃくを入れるときは、食べやすい大きさに切って塩少々(分量外)をふって軽くもんでからすすいで塩を落としておき、他の材料と一緒に煮ます。

 

 

枝元なほみの親ごはん

料理家 枝元なほみ

撮影/キッチンミノル
取材・文/高田真莉絵
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