白菜使い切り! 自宅でできる、発酵白菜鍋【親ごはん第13回】
枝元なほみの親ごはん

母が生きていた時には間に合いませんでした、発酵白菜。ここ4~5年の私の冬の定番料理だからです。母に食べさせてあげたかったな、母、きっと好きだったろうなあ。漬物が好きだったし、「乳酸発酵してるんだよ」なんて言ったら興味津々な上にさらに自慢げに「体にいいから食べなさいよ」なんて父に言ったりしただろうなあ。

 

母が白菜漬けを作っていたのは私が子どもだった頃だから、随分昔の話。それなりに大きめの木樽に、落し蓋と大きな重石をのせて作った白菜漬けが食卓にでてきていました。子供の頃は、軸は苦手。葉っぱの方だけが好きで、ご飯にくるりと巻いて食べていました。時々出てくる古漬けは酸っぱくてさらに苦手。それから何十年も経って、自分で作る白菜漬けはチャック付きのビニール袋で、しかも刻んで、いっぺんに作る形に定着しました。重石をして漬けた白菜は雑菌が入りやすいけれど、袋に入っているから元々白菜についている乳酸菌だけで発酵する、おまけに刻んであるから包丁いらずで各種料理に入れるだけ。便利ですよー。

 

母に間に合わなかったように、冬の終わりに白菜漬けの料理でごめんなさい。でも今ならギリギリで間に合うかしら、最後の白菜を刻んで漬けて、発酵したら冷蔵庫で保存して名残りの冬を美味しく食べてくださいね。発酵白菜が、どうぞみなさんのキッチンの定番になりますよう。

 

「発酵白菜」

■材料(作りやすい分量)
白菜   1/4個(600~700g)
塩    小さじ2

 

【1】白菜は横にして断面から水をかけてすすぎ、水けをきる。芯を除いてから繊維を断つように端から1cm幅に切り、チャックつきのビニール袋に入れる。塩を加えて空気を入れて閉じ、袋ごとふって全体を混ぜてそのまま5~10分おく。

 

 

【2】白菜から水けがにじんできたら袋の空気を抜いて、袋の上から揉んでなじませてから袋の口を閉じる。

※20~30分したら食べられるが、5日ほど常温におくと乳酸発酵して酸味が出てくる。酸味が出てきたら冷蔵庫で保存する。

※作ってすぐは、サラダのようなフレッシュな味わい。2~3日すると塩がなじんで漬物の状態になり、5日ほど経つと発酵して酸味が出て古漬けの状態になる。白菜漬けの水分も、それぞれの段階で調味料のように使うことができる。

 

「発酵白菜鍋」

■材料
基本の発酵白菜     2/3~全量
豚バラ薄切り肉     250g

<A>
しょうゆ、酒      各小さじ1
こしょう        少々

 

片栗粉         大さじ1
しいたけ        4枚
しめじ         1パック
豆腐(木綿)      1/2丁
水菜          1/2束
※ニラや細ねぎなどでもOK
鶏ガラスープの素(顆粒) 小さじ2
ごま油         大さじ1と1/2
ナンプラー、酢     各適量
ごま油、こしょう、ラー油、花椒など 各適宜

 

【1】豚肉は1cm幅に切ってAをもみ込み、片栗粉をまぶす。しいたけは薄切りにし、しめじは石づきを切り落として、手でほぐす。豆腐は食べやすく切り、水菜はざく切りにする。

 

【2】鍋に湯800mlを沸かし、鶏ガラスープの素と基本の発酵白菜を浸け汁ごと入れて火にかける。沸いたら豚肉をほぐしながら入れ、しめじ、しいたけも加えて煮る。全体がなじんできたら豆腐を加えて温める。

 

 

 

【3】鍋の味をみてナンプラーや酢を加えて味をととのえ、好みでごま油やこしょう、ラー油、花椒などをふり、仕上げに水菜をのせる。

 

枝元なほみの親ごはん

料理家 枝元なほみ

撮影/キッチンミノル
取材・文/高田真莉絵
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