akane
2019/02/15
akane
2019/02/15
Genre: Folk Rock
Blonde on Blonde – Bob Dylan (1966) Columbia, US
(RS 9 / NME 62) 492 + 439 = 931
Tracks:
M1: Rainy Day Women #12 & 35, M2: Pledging My Time, M3: Visions of Johanna, M4: One of Us Must Know (Sooner or Later), M5: I Want You, M6: Stuck Inside of Mobile with the Memphis Blues Again, M7: Leopard-Skin Pill-Box Hat, M8: Just Like a Woman, M9: Most Likely You Go Your Way and I’ll Go Mine, M10: Temporary Like Achilles, M11: Absolutely Sweet Marie, M12: 4th Time Around, M13: Obviously 5 Believers, M14: Sad Eyed Lady of the Lowlands
ボブ・ディランが「エレクトリック」化した、僕が言う「奇跡の季節」の締めくくりとなるアルバムだ。つまり「ディランのフォーク・ロック」の完成型がここにある。それが彼にとって7枚目のスタジオ・アルバムとなる本作だ。
なんと言っても、本作の特徴は「ポップだ」ということにつきる。M1、M4、M6のにぎやかさ、華やかさ、聴きやすく軽快にして、つい鼻歌で口ずさみたくなるこの感じは、彼の到達点と言うべき境地だ。ついこのあいだまでは「こんなふうにポップに」ディランの曲を昇華できるのは、カヴァーした人たちだけの特権だった(ザ・バーズなどが典型だ)。「本人だけは」これをやれなかった、のだが。
なにか「吹っ切れた」かのように軽やかに歌うディランの魅力は、たとえば「アイ・ウォント・ユー」(M5)、「ジャスト・ライク・ア・ウーマン」(M8)といった、このあとも長く愛される人気曲に顕著だ。一方、アナログ盤の片面に11分にわたるM14だけが収録されていたりもする(もっとも、長さを感じさせない1曲なのだが)。言い忘れていたが、本作のオリジナル盤は、アナログLP2枚組のダブル・アルバムだった。この形態がディラン初なのはもちろん、ロック界においても「初めてではないか」というほど斬新なものだった。このときの彼の創作意欲を受け止めるには、ここまでの大きな容れ物が必要だった、ということのあらわれだ。
本作のレコーディングは、その大半がテネシー州ナッシュヴィルでおこなわれた。カントリー音楽の聖地、アメリカ大衆音楽の母なる故郷がナッシュヴィルだ。前作、前々作はニューヨークのコロムビア・スタジオですべて録られていたから、彼の「転地」制作法が吉と出たのが、この充実ぶりの一因だったのかもしれない。
ディランの絶頂期は、本作の発表をもって突如終了する。66年7月のオートバイ事故にて重症を負った彼は、公の場から一時姿を消すからだ。この隠遁期間を経たあとの彼は、ザ・バンドとセッションし、ナッシュヴィルへと舞い戻ることになる。
まだザ・ホークスと名乗っていたザ・バンドの面々(ロビー・ロバートソンとリック・ダンコ)が、M4にのみ参加している。この1曲だけがニューヨークで完成にまで至った。前作に引き続 いての、アル・クーパーのオルガンもいい感じで映えているので、 過去と未来と、そしてディランのこの季節のすべても象徴するような、面白い味わいのナンバーとなっている。
次回は16位。乞うご期待!
※凡例:
●タイトル表記は、アルバム名、アーティスト名の順。和文の括弧内は、オリジナル盤の発表年、レーベル名、レーベルの所在国を記している。
●アルバムや曲名については、英文の片仮名起こしを原則とする。とくによく知られている邦題がある場合は、本文中ではそれを優先的に記載する。
●「Genre」欄には、収録曲の傾向に近しいサブジャンル名を列記した。
●スコア欄について。「RS」=〈ローリング・ストーン〉のリストでの順位、「NME」は〈NME〉のリストでの順位。そこから計算されたスコアが「pt」であらわされている。
●収録曲一覧は、特記なき場合はすべて、原則的にオリジナル盤の曲目を記載している。
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