akane
2019/04/15
akane
2019/04/15
Genre: Rock, Blues, Country Rock
Exile on Main St. – The Rolling Stones (1972) Rolling Stones, UK
(RS 7 / NME 24) 494 + 477 = 971
※7位、6位の2枚が同スコア
Tracks:
M1: Rocks Off, M2: Rip This Joint, M3: Shake Your Hips, M4: Casino Boogie, M5: Tumbling Dice, M6: Sweet Virginia, M7: Torn and Frayed, M8: Sweet Black Angel, M9: Loving Cup, M10: Happy, M11: Turd on the Run, M12: Ventilator Blues, M13: I Just Want to See His Face, M14: Let It Loose, M15: All Down the Line, M16: Stop Breaking Down, M17: Shine a Light, M18: Soul Survivor。
ザ・ローリング・ストーンズのアルバムで、当ランキング最高位となったものがこれだ。イギリスで10枚目のスタジオ盤となる本作は、彼らにとって初の、LP2枚組のダブル・アルバムとなった。「黄金時代」の終焉を告げるに相応しい、大ヴォリュームかつヴァラエティにも富んだ、モニュメンタルな一作だ。
本作の最大特徴は「明るい」ということだ。ライト感覚で「血の匂いのしない」70年代以降のストーンズが出現したのはここだ。憑きものが落ちたのか、喪が明けたのか。『ベガーズ・バンケット』(68年、37位)以降の、凄惨なる混沌のただなかから発信されていた彼らの音楽と、本作のそれは、本質的にまったく違うものへと変化を遂げている(表面的には「そっくり」なのだが)。生の歓びに満ちているのだ。自信満々で、輝ける明日に投げキッスをしているみたい、なのだ。
そんな感覚が最大限に反映されたのが、シングル・ヒットともなった「ダイスをころがせ」との邦題で知られるM5だ。いみじくも「ハッピー」と題された、キース・リチャーズが歌うナンバー(M10)もある。どちらも彼らのライヴ・ショウで演奏されることの多い、人気曲だ。M1、M2も同系統のロックンロールだ。
ブルースも多い。スリム・ハーポのカヴァーであるM3、ロバート・ジョンソンのM16を始め、M4、M12、カントリー・ブルースのM8、そしてデモ・テープ調(?)のM13がこれにあたる。カントリー・ロックもある(M6、M7)。そしてゴスペル調のコーラスをフィーチャーしたロック、つまり「ギミー・シェルター」(69年、21位の『レット・イット・ブリード』に収録)の再現を目指したようなM9、M14、M17、M18――と、本作は「黄金時代の総決算」と呼ぶべき構成となっている。総花的である一方、悪く言うと「散漫」でもある。
そうなった理由は「ストーンズは勝ち残った」からだ。ビートルズの解散後、ロック界の「王座」に就いたのはストーンズだった、からだ。たとえば米〈ニューズウィーク〉誌71年1月4日号の表紙には、ステージ上のミック・ジャガーの写真がフィーチャーされていた。そこには「ロックの未来」と大きくコピーが打たれていた。前作『スティッキー・フィンガーズ』(71年、30位)が69年から70年にかけて録音されたものだったから、つまり本作は、「王」としての自覚を持ったあとのストーンズが初めて制作に取り組んだアルバムだった、と見るのが正しい。
(後編に続く)
※凡例:
●タイトル表記は、アルバム名、アーティスト名の順。和文の括弧内は、オリジナル盤の発表年、レーベル名、レーベルの所在国を記している。
●アルバムや曲名については、英文の片仮名起こしを原則とする。とくによく知られている邦題がある場合は、本文中ではそれを優先的に記載する。
●「Genre」欄には、収録曲の傾向に近しいサブジャンル名を列記した。
●スコア欄について。「RS」=〈ローリング・ストーン〉のリストでの順位、「NME」は〈NME〉のリストでの順位。そこから計算されたスコアが「pt」であらわされている。
●収録曲一覧は、特記なき場合はすべて、原則的にオリジナル盤の曲目を記載している。
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