ヤクルト二軍監督・高津臣吾「二軍は審判を育てる場所でもある」
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二軍で試合をしていると、「リクエスト」したくなることがある。一軍で採用されている映像判定のことだ。二軍ではそこまでの設備が整っていないので、リクエストができないのは致し方ない。

 

実は、二軍全体の課題として、審判を育てるということが挙げられている。プロ野球は選手がいないと成立しないが、審判がいなければプレーボールもかからない。審判もファームのゲームで鍛えられて、一軍へと昇格していく。

 

二軍の監督会議で、審判部長から「二軍の審判も育ててやってください」という話をもらったことがあった。
「もし、抗議に値するような判定があったら、抗議をしてもらって構いません。いまの若い審判は、そこでひるんでしまうことがあるので、ちゃんとした審判になるためにも、みなさんで鍛えてやってください」

 

たしかに思い当たる節があった。僕からすると、息子のような年齢の審判が二軍ではジャッジをしていて、「これはちょっとな」と思う判定があった時、抗議をした。ところが、おそらく20代半ばの審判は涙ぐんでしまった。

 

「マジか」と思いながら、僕も落としどころを探り、「じゃあさ、他の審判と話してくれ」と言った。

 

二軍の試合では、審判は球審、一塁塁審、そして三塁塁審の3人で試合を進める。他の審判と話したところで、判定が覆らないことは知っている。結局、「監督、判定の通りです」で終わった。それはそれで仕方がないし、押してばかりいても、審判を困らせるだけだ。

 

翌日も同じクルーがジャッジをすることになっていて、日が改まったこともあり、僕の方から「昨日は熱くなって、悪かったなあ」と謝った。

 

審判との間では、日本でもアメリカでも、こうした駆け引きがある。二軍だと、人も少ないから、監督と審判の距離が近くなり、こうしたコミュニケーションも成り立つ。

 

こうしたやり取りを振り返ってみると、つくづく二軍は「免疫力」を高める場所なんだな、と思う。

 

メジャーリーグだと、監督はしょっちゅう「さっきのはボールだったじゃないか!」と球審に文句を言っている。向こうの野球はそういうものなのだ。しかし審判の方もベテランだから、「もうそろそろやめてくれ」というサインを出す。それを無視すると、退場だ。

 

アメリカほどではないけれど、日本の二軍でも審判とコミュニケーションを取ることが、将来の野球界を支えることにつながると思う。

 

ちなみに僕は、監督として、審判には結構優しい方だと思う。

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二軍監督の仕事

二軍監督の仕事育てるためなら負けてもいい

高津臣吾(たかつしんご)

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