贈り物に欠かせない熨斗(のし)とは、実は鮑のことだった!
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贈答品には欠かせないものがあります。それは、熨斗です。

 

熨斗とは、「熨斗鮑(のしあわび)」の略。鮑を薄く削いでいったものをいったん乾かし、さらに水で引き伸ばしたものが、本来の熨斗鮑です。

 

熨斗は、金子(きんす)包み(祝儀袋)の右上に貼ってあったり、あるいは熨斗紙の右上に印刷されているものですが、よく見ると、中に黄色や茶色の系統の熨斗鮑が包まれていることがわかります。

 

鮑は神様への供物の代表的なものですが、栄養価が高く、日持ちもすることから、長寿を表すものとしても、贈答には欠かせない存在でした。現在でも、伊勢神宮などでの神事では、鮑でつくられた熨斗鮑が使われています。鮑をご神体とする神社もあるほどです。

 

鮑以外のものが贈答に用いられるようになっても、熨斗鮑や干鮑が添えられていましたが、現在は小さな熨斗へと変化しています。

 

熨斗は、主にお祝いごとの際につけるものです。熨斗には「のばす」という意味もありますので、お見舞いや弔事の金子包み(不祝儀袋)などには使用しないのが一般的です。

 

また、仏教では殺生を嫌うため、生臭物(なまぐさもの)の一種である鮑を金子包みにつけるのは、弔事以外であっても避けることがあります。

 

 

以上、『外国人に正しく伝えたい日本の礼儀作法』(小笠原敬承斎著、光文社新書刊)から抜粋・引用して構成しました。

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