飛び降り自殺から生還したモカさんが伝えたいこと(6)
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経営者・漫画家のモカさん(1986年3月生まれ、元男性)は、躁鬱病を悪化させた末、飛び降り自殺で重傷を負いながらも九死に一生を得る。全身の痛みに向き合いながら気づきを得たモカさんは、2016年から「お悩み相談」を始め、約600人の悩みと向き合ってきた。

 

 

性的マイノリティーの男性が抱える三重苦

 

モカさんが配っている「お悩み相談カード」やWEBサイト「モカのお悩み相談」では、マンションからの飛び降りには触れているが、モカさんがトランスジェンダーであることへの言及はない。

 

一方、モカさんはブログのプロフィールを一時、「元男性として生まれ、女性を装い自由に生きる」としていた。2018年11月時点のツイッターのアイコンでは、「経営者・漫画家・元男子、哲学女子」と自己紹介している。

 

同じ性的マイノリティーとして相談に乗ってもらいたくて、モカさんに連絡してくる人も少なくない。札幌在住の40代の相談者、山田恵さん(仮名)もその1人だ。

 

山田さんは2017年の1、2月ごろ、ツイッターでモカさんの悩み相談を知り、連絡してきた。そのころ、働いていた東京の職場でストレスを抱え、不眠症になっていた。心の支えにしていた音楽ライブに行く回数も減り、次第に鬱状態に。

 

さらに、性別は男性だが、女性ホルモンを摂取しており、女性の格好で仕事をしたいという希望があった。

 

しかし、職場では認めてもらえなかった。生活も苦しかったことから、相談でのモカさんの提案に従い、2017年の春に地方都市の実家に戻った。

 

引っ越しが終わり、生活が落ち着くまで、モカさんは何度も山田さんの不安を聴き、アドバイスした。行政窓口にも付き添った。

 

モカさんは山田さんの状況を次のように説明する。

 

「世間一般では、鬱病の理解はまだまだ進んでいません。心が弱いから、怠け者だからなるとの誤解があり、打ち明けにくい。さらに、LGBTなどの性的マイノリティーを、いまだ差別し、笑いものにする人もいる。

 

鬱病、性的マイノリティー、生活苦。この三重苦で、山田さんは押しつぶされそうになっていました」

 

 

以上、『12階から飛び降りて一度死んだ私が伝えたいこと』(モカ、高野真吾著、光文社新書刊)から抜粋・引用して構成しました。

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12階から飛び降りて一度死んだ私が伝えたいこと

12階から飛び降りて一度死んだ私が伝えたいこと

モカ/高野真吾

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