akane
2019/05/03
akane
2019/05/03
モカさんが配っている「お悩み相談カード」やWEBサイト「モカのお悩み相談」では、マンションからの飛び降りには触れているが、モカさんがトランスジェンダーであることへの言及はない。
一方、モカさんはブログのプロフィールを一時、「元男性として生まれ、女性を装い自由に生きる」としていた。2018年11月時点のツイッターのアイコンでは、「経営者・漫画家・元男子、哲学女子」と自己紹介している。
同じ性的マイノリティーとして相談に乗ってもらいたくて、モカさんに連絡してくる人も少なくない。札幌在住の40代の相談者、山田恵さん(仮名)もその1人だ。
山田さんは2017年の1、2月ごろ、ツイッターでモカさんの悩み相談を知り、連絡してきた。そのころ、働いていた東京の職場でストレスを抱え、不眠症になっていた。心の支えにしていた音楽ライブに行く回数も減り、次第に鬱状態に。
さらに、性別は男性だが、女性ホルモンを摂取しており、女性の格好で仕事をしたいという希望があった。
しかし、職場では認めてもらえなかった。生活も苦しかったことから、相談でのモカさんの提案に従い、2017年の春に地方都市の実家に戻った。
引っ越しが終わり、生活が落ち着くまで、モカさんは何度も山田さんの不安を聴き、アドバイスした。行政窓口にも付き添った。
モカさんは山田さんの状況を次のように説明する。
「世間一般では、鬱病の理解はまだまだ進んでいません。心が弱いから、怠け者だからなるとの誤解があり、打ち明けにくい。さらに、LGBTなどの性的マイノリティーを、いまだ差別し、笑いものにする人もいる。
鬱病、性的マイノリティー、生活苦。この三重苦で、山田さんは押しつぶされそうになっていました」
*
以上、『12階から飛び降りて一度死んだ私が伝えたいこと』(モカ、高野真吾著、光文社新書刊)から抜粋・引用して構成しました。
株式会社光文社Copyright (C) Kobunsha Co., Ltd. All Rights Reserved.