「ありのままの自分」でいるために―、自分自身の さまざまな事情を受け入れよう
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精神科医・水島広子先生の最新刊『続「他人の目」が気になる人へ ~ひとりがラクになるヒント~』より、一部を抜粋してご紹介します。
「他人の目」から自分を解き放ち、「ひとり」でも心地よくいるためのヒントが満載です!

 

 

さまざまな事情の結果として、今の自分がある

 

「ありのままの自分」を受け入れよう、と言われても、「そんなことが簡単にできるわけがない」と感じる人が多いと思います。そして、自分について、受け入れがたい点(自分でダメだと思っているところ)をいろいろと思いつくことでしょう。

 

もちろん完璧な人間などいませんから、自分には満足のいかないところも多々あることと思います。

 

しかし、そうなったのにはさまざまな事情があるはずです。

 

持って生まれたもの、生育環境、周りにいた人たちの性格や価値観、これまでに体験してきたこと、今置かれている状況など、いろいろな事情があって、結果としての現状があるのです。

 

人は、できるだけのことはやっているものだ

 

そもそも、人は、どんなときにも、できるだけのことはやっているものです。

 

できていないことは、何らかの事情によるのです。「単にやる気がないだけ」という場合でも、やる気をなくさせるような何かがあったか、気力が十分にないか(その場合は気力を低下させるような事情があります)、何かしらの理由があるのです。

 

ですから、満足のいかないところも、事情を考えれば、すべて必然だと言えます。「もっとよかったはずの」別の選択肢は、その時点では、なかったのです。

 

「あのときああしていれば……」と後になって思うことは簡単なのですが、当時の自分にはそれ以外にできなかった、あるいは、そちらのほうがよいと思った、というのはどんな場合にも事実です。

 

「それにしてもよく頑張ってきた」と自分を受け入れよう

 

そんな事情も含めて、「ありのままの自分」を受け入れてみましょう。「まあ、いろいろあったからこんなものだな」「それにしてもよく頑張ってきたな」というように、自分の現状を否定することなく受け入れるのです。

 

「ありのままの自分」を受け入れるということは、これ以上の進歩の必要性を認めない、という意味ではありません。「現在の自分はこれでよい」と、単に現実を受け入れるだけの話です。

 

進歩が必要なら、それはこれからやっていけばよいこと。現在の自分を否定する必要など全くありません。

 

逆に、現在の自分を否定してしまうと、過去にばかり目が向いてしまい、「これからの進歩」が難しくなってしまいます。

 

あえて自分の長所を見つける必要もない

 

なお、「ありのままの自分」を受け入れるためには、敢えて「自分のよいところ」「自分の中で好きな部分」を見つける必要もありません。ただ、自分を否定しないで「まあいろいろ事情があったから」と受け入れればよいだけです。

 

すると、今まで逆境の中、頑張ってきた自分が見えてきたり、いろいろなコンプレックスを抱えながらも日々頑張っている自分が見えてきたりして、「自分はダメだ」と思っていたときとはまた違った感じ方になってきます。

 

ありのままの自分を自分自身で受け入れることが、「つながり」を感じる土台となります。

 

ありのままの自分を否定する先に「ひとり」がラクになる生き方はない、ということは頭に入れておいてください。

 

今現在の「ひとりが嫌だ」と感じる自分のことも、否定することなくそのまま受け入れればよいのです。ここまでの自分には「ひとり」をネガティブにとらえることになった何らかの事情がある、ということだからです。

 

※この記事は、『続「他人の目」が気になる人へ』(水島広子)をもとに作られました。

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