akane
2019/10/25
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2019/10/25
将棋界のレジェンド・加藤一二三九段のエッセイ『一二三の玉手箱』(光文社知恵の森文庫)では、数々の「伝説」についてご本人がマジメに真相を解説しています。
今回は、なかでも有名な『対局中に滝を止めさせた伝説』について、ご自身の弁をご紹介!
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とある旅館でタイトル戦の対局中、庭の滝の音が気になって仕方がなくなった加藤一二三九段。そこで加藤一二三九段は旅館の方を呼びつけ、なんと、その滝を止めさせてしまったことがあるとか。
自分でもそのことをほとんど忘れていましたが、つい最近羽生善治さんとお話しする機会があり、羽生さんにこういわれたんですね。
「私がタイトル戦であちらこちらにいくと、『ここで加藤先生に滝を止めるようにいわれました』ということを係りの人にいわれます」と。
続けて羽生さんは「私もノータイムで滝を止めてくださいとお願いしています」というんですよ。
それで私が羽生さんにこういうんですよ。
「そうそう、そういえば私が滝を止めたことが2回ぐらいあったですかね」と。
そうすると羽生さんがサービス精神を発揮して、少しにこっと笑ってこういうんですよ。「いやー、私が聞いたところでは5回ぐらいありますよ」と。
少なくとも2回ぐらいは記憶がありまして、ひとつは天童での対局のときに、滝ではなく水車でした。庭でゆっくりゆっくり水車が回っているのですが、音がするんですよ。対局中にそれが気になりますから、それを止めてもらいました。
それともうひとつは箱根の旅館で、滝の音がするんですよ。滝の音は対局で考えているときには耳障りですよね。もちろん自然の滝では止めることはできないので、滝とは人工の滝です。人工の滝だったので止めてもらうことにしました。
ですから滝を止めたという話は2回ほどは思い当たることがあるのですが、あとの2回か3回は、あったのでしょうけど、記憶にはないです。
※この記事は『一二三の玉手箱』(加藤一二三・著)より、一部を抜粋・要約して作成しています。
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