“星読み係”のyuji氏がナビゲートする“ニューアース”の歩き方⑤
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BW_machida

2020/12/08

星読み好きにとって“must people”である、ヒーラーにして“星読み係”のyuji氏。新進気鋭の星読み師である彼が12星座に焦点を絞って記した初の著書『星 2.0』を上梓した。発売後即大重版された話題の一冊を、星好きライターが読んで感じたこと、本からインスパイアされたいろいろを「読書体験記&描き下ろしの絵」という形で、数回にわたってお届けします。

 

「光は必ずある」

 

Day5「問題が問題でなくなってしまった」

 

 今は午前10時。あと2時間したら外出をする。けれど、出かけ支度の一切をせず、原稿に向き合おうとパソコンを立ち上げた。人生とは、このようにほんの些細なことでさえ選択なのだな。手術前夜の友人から送られてきた「手術への葛藤」メールを読んだこともあり、どうしても「選択」について思い巡らせてしまう朝。
 いわゆるコロナ禍は、外出がうんと減った。誘い自体少ないのもあるが、誘いの多くを断っていたことも大きい。コロナを警戒する以上に、自分の望む在り方を腰を据えて見つめ直したい気持ちが強く、自主的ステイホームを選んだ。そんな状況下でもやりとりをする人とは、よほど縁が深いのだろうか? 今日は久々の友だちと会う。「今年感じたことを今年のうちにシェアしたい」と連絡をくれた彼女は蠍座の女。貴重な再会タイムをより密なものとすべく『星2.0』は「蠍座」を開いた。

 

 蠍座と聞くと、毒をもち、ドロドロしたディープな世界、とんでもなく深い場所での人との本質的な結びつき、などというイメージが即座に浮かぶ。その”世界”は自分とは縁遠いものと思える。けれど私は、天王星という「革新性」「オリジナリティ」などを表す天体に加え、「人生で取り組むべき課題」などを示すとされるドラゴンヘッドも蠍座にある。縁遠いどころか、おおいに縁のある星座なのだった。そうした星座を知ることとは、人生の設定や自分の取説を知れることなのかもしれない。
 はたして蠍座は、「蠍座はスーパーヒーロー」という冒頭ページの言葉から一気に心をつかまれた。これまで「スーパーヒーロー」などと蠍座を捉えたことなどただの一度もない。そのようにイメージの再編集、再構成がなされることこそ、読書の醍醐味! 太陽・双子座の私は大興奮した。ほかにも、今回もまた素晴らしい言葉やメッセージがたくさんあった。そのすべてを列挙したいけれど、それは無粋というものですね。ということで、どうしても、というものを挙げてみる。

 

【蠍座ほど深いところまで入り込むと、通常では見えてこない景色や色を見たり、また、深遠なる何かを掴むなどということもきっとあるのではないでしょうか。そして、これは人の世の理とも言えることですが、深く知れば知るほど、光も増しますが、また同時に闇も増すもの。】(P233)

 

 この一節を読み、暗く長いトンネルに光がさした。というのも私は(ホロスコープにもはっきり示されている)「感情」が苦手で、「感情的なやりとり」は超苦手なのである。自分の感覚としては、30代半ばくらいまでは自身の感情というものを、まるでわかっていなかった。もちろん「嬉しい」や「悲しい」はあったがどれも表層的なもので、感情に揺れていない自分が常にいた。それは悟り的な、達観的なこととは似ているが違って、単純に、自身の感情を深く感じられていなかったのである。
 たとえばお店で失礼な接客をされたとして、その場はなんともなくやり過ごし、半日過ぎた頃にむくむくと「あの態度はなんだ!」などと怒ったりすることは日常的にあった。事が起きてから数年後、ひどいものだと数十年して初めて「自分は嫌だったのだ。怒っていたのだ」と気がつくことも珍しくはなかった。とにかく感情が苦手で、本能的に、感情を共有するような深い人付き合いを避けていたように思う。それがいつからか、広く浅くだった人間関係が狭く深く的に変容を始めた。その変化は、自らが獲得したというよりも、「やってきた」という感覚が強く、関係性を理解しようと努めては、”出口不明”で頭や気持ちが混乱することもよくあった。

 

 その「闇」に、上記の本の言葉は光だった。「そうか、そうか。深く知るほど光も増すが、同時に闇も増すのか!」。わかってしまえば、陰陽は表裏なのだから当然だ、と思える。でも、渦中にはわからないものなのだろう。
 深く、自分なりに真摯に人と付き合うほどに重たい感情が生じる意味が掴めず、「自分は何かを間違えているのでは?」と不安になることもあったが、でも、これでよかったのだな! その闇は、深く掘り下げたからこそ体験できるものだったのだ。

 

 この度の『星2.0』ジャーニーは、いつになく深い癒しがもたらされた。まさに蠍座的。
 誰にでも当てはまることかはわからないが、自身のドラゴンヘッドの星座を知ることで人生はずっとかろやかになるように感じる。少なくとも私は、蠍座を知り、世界が一変した気分。なにせ「モヤモヤする問題」が「魂の進化のための必須アトラクション」へと変わってしまったのだもの。ぜひこの感動を、ドラゴンヘッドの星座を読んで、多くの人にも味わってほしいと強く思う。

 

星 2.0』光文社 
yuji /著

 

文・絵/野村浩平 友人の“遊びの鑑定”を受けたことにより星に興味を持つ。2018年に占星術の基礎講座を受講し、以後マイペースに独学中。太陽星座はふたご座。星のことや身辺雑記を綴るブログ「leeの話

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