BW_machida
2020/12/14
BW_machida
2020/12/14
小熊さんはアンソニー・ロビンズの世界一のポイントとして「ミッションを完遂するために1ミリも妥協しない交渉力」をあげています。
世界一の交渉の真髄は、「自分の基準に相手を合わさせ、最良の環境で最良の結果を出す」
一方、凡人は「相手の基準に合わせて、妥協した環境で妥協した結果しか出せない」
実際、アンソニー・ロビンズが日本で初めてセミナーを開催するときにこだわったのが、空調だったそうです。彼は、セミナーで最高の結果を出すために、自分自身のパフォーマンスはもちろん、空調、照明、音響といった環境にもこだわります。
アンソニーの辞書に「妥協」という言葉はないのです。
それは、自分のためではなく、参加者のためを思うから。自分のセミナーに参加したすべての人を絶対に成長させると、自分自身に誓っているからなのです。その目的達成のために、一切の妥協はしない。彼の交渉力はそういう信念の上に築かれているのです。
次に紹介するのは、人間行動学の世界的権威=ジョン・ディマティーニ博士です。ディマティーニ博士の最大の特徴は、神様が実在するとしたらこんな人かも……と思わせるほどの「寛大な心」です。
なぜ、寛大でいられるのかというと、何事も「善悪で判断しない」から。目の前の出来事や人間をあるがままに受け止め、中立を保つことの意味を体現しています。
その聡明な姿からはとても信じられないのですが、子どもの頃は学習障害があると言われ、学校ではいじめられていたそうです。とても大学に進学できるとは思われていなかったとか。ところが10代の頃の自己探求の旅を経て、運命的な出会いをし、自分のやりたいことに目覚めたときから、勉強に目覚め、学習障害を乗り越えて大学ではみんなが教えを乞うほどの秀才になってしまったのです。
彼自身が「奇跡の人」なので、いま、精神的な悩みや障害を抱えた人たちを救うことができるのかもしれません。
さらに本書では、小熊さんが10代の頃から抱えてきたトラウマをディマティーニ・メソッド?で克服した経験が紹介されています。
小熊さんによると、「辛い」と感じることはすべて自分が善悪で判断していることに起因しており、自分自身を中立な状態にもっていくことができれば、それは克服できる。そして、悩んでいることから解放され、道が開けると感じられるのです。
次に、営業の神様=ブライアン・トレーシーと、世界一のお金の教育者=ロバート・キヨサキという大局的な2人を紹介します。
2人とも世界的なビジネスの指導者ですが、キャラクターは対照的。ブライアンは完璧な紳士でビジネスパーソンです。語り口はおだやかで上品。それに対してロバートは激情家で、スタッフはもちろん、ファンに対しても激しい言葉を浴びせることもあるそうです。ブライアンが平和の国の王様なら、ロバートは、戦いに邁進する国の王様といった感じです。
それでも、小熊さんは2人には絶対的な共通点があると言います。それは、肉体的な苦しみさえも乗り越えて、自分の思いを届けようとする「強靭さ」です。
ブライアンは、日本での講演の数年前に椎間板ヘルニアを患って体を思うように動かせなくなり、そのせいで立って講演ができないほど衰弱してしまったそうです。それでも、話し始めれば、あっという間に聴衆を魅了してしまったのです。一方、ロバートは、講演前に肺炎にかかり、医師から1〜2時間も講演したら命の危険があるとさえ言われたことがあります。にもかかわらず、檀上で堂々たる講演をやり遂げたのです。
対照的な2人ですが、どちらも「言い訳せずに自分のミッションを完遂する」強靭さを示していることから、小熊さんは、自分のやるべきことがわかっていれば、その表現方法はどんな形でも良いのだと感じます。
世界的に著名な講演家の「日本語の声」となり、本人に憑依するかのごとく感情豊かに同時通訳する、自称“イタコ通訳”の小熊弥生さんならではの観察眼と、そこから見いだされた成功哲学が詰まった1冊です。
文/木本真澄
株式会社光文社Copyright (C) Kobunsha Co., Ltd. All Rights Reserved.