BW_machida
2021/04/22
BW_machida
2021/04/22
寺の住職がお付き合いをサポートしてくれる「寺コン」や一泊二日の「婚活移住ツアー」、結婚を夢見るシニアのための「シニア婚活」にコロナ禍で人気を集めている「オンライン婚活」など本書には平成に入り加速した結婚離れを考えるうえで不可欠な情報と新時代のヒントになる恋愛、結婚事情がたっぷり収められている。
「平成JUMP」なる言葉を聞いたことがあるだろうか。あのジャニーズ事務所の人気グループのことではない。インターネット用語で、昭和生まれで平成を結婚することなく過ごし、令和を迎えた人のことを指すらしい。平成時代を未婚のまま「飛び越え」たから「平成JUMP」だ。ネットニュースで次々と取りあげられ、ツイッターでも話題になった。30代を中心とした当事者たちはと言えば賛否両論で、否定的なコメントもあれば、自虐しながらも面白がるコメントもある。こうした反応を受けて、著者は「新しい時代への期待感が伝わってきた」と述べている。事実、厚生労働省の統計によると、改元直後の2019年5月の婚姻組数は前年の約2倍に増えたという。「令和婚ブーム」が話題になったことを覚えている人も多いだろう。
著者によれば、令和の時代の結婚仲介人は人工知能(AI)が務めてくれるらしい。先端技術が人間に会話のきっかけをあたえ、ときに盛り上げ役を果たし、相性のいい人を探してくれるのである。
たとえば結婚相談所「ツヴァイ」は、握手やタッチなど体に触れる動作で情報を伝える「人体通信技術」を活用している。これは、お互いの理解を深めるきっかけになればと導入された。これは婚活パーティに参加した男女がリストバンドをして握手すると互いのプロフィールがタブレット端末に表示されるという仕組みで、タブレットには趣味、出身地、飲酒、喫煙の有無や結婚歴などの情報が表示される。参加者はタブレットの内容を見ながら安心して話題を選び、会話を進めることができるというわけだ。
少子化に悩む自治会もAIによる結婚支援に着目し、マッチングサービスを始めている。結婚支援サービス「パートナーエージェント」(現タメニー)のシステムを利用すれば、わざわざ足を運ばなくても、AIが会員のために相性の良い相手を選び出してくれる。お見合いの日程を職員が電話で調整する必要もなくなった。短期間で結婚が叶うのも、相性の良さを後押ししてくれるAIのなせる業だと著者は語る。
とはいえ、新時代の結婚も簡単ではない。経済や雇用情勢の悪化や出産の高齢化に伴う不安など課題は多く残されている。本書にはいくつもの人生、いくつもの価値観が登場する。しかし「はじめに」で著者が述べているように「どれが正解、なんてない。誰もがその人なりの幸せを追い求めればいい」のだ。
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