『アクトレス』著者新刊エッセイ 誉田哲也
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BW_machida

2022/03/14

みんな「続編を」って簡単に言うけどさ

 

嘘をつくな、と思われるかもしれないが、私はほとんど、シリーズというものを意識して書き始めたことがない。

 

結果的には四部作になった「武士道シリーズ」も、一作目の『武士道シックスティーン』で終わるはずだった。それを担当編集者が「16があるなら17も書けるでしょう」と、俗に言う「無茶振り」をし、それが三回繰り返された結果あの四部作が出来上がった、というのが偽らざる事実だ。

 

「ジウ・サーガ」なんて、つい最近できた言葉だ。あれだって最初の『ジウ㈵〜㈽』で終わったはずなのに、担当編集者(前出とは別人)が「もう美咲は出てこないの?」「東が主人公ならありでしょ」と駄々を捏ね、それが『国境事変』になり、他所から引っ張ってきた『ハング』も合流して「歌舞伎町シリーズ」という新たな枠組ができ、結果「ジウ・サーガ」と呼ばれるようになったのだ。誓って言うが、この呼称は私が決めたものではない。「姫川玲子シリーズ」に対抗する呼称が欲しかった担当編集者が言い始め、まあ、それならいいかなぁ、と私が受け入れたことで正式なシリーズ名として採用された、というのが、これまた偽らざる事実である。

 

で、『ボーダレス』。そして今回の『アクトレス』。
これこそシリーズ化なんて全く考えていなかったのに、ドラマ化されたことから、どこからともなく「続編を」という話が湧いて出てきた。ただし、この作品には『13日の金曜日』的な「構造を踏襲する」書き方と、登場人物を継承してその後日談を書く、いわば「普通の続編」という二通りの書き方が考えられた。さて、どうしたものか。

 

結果、登場人物に対する愛着が勝った、ということでしょう。森奈緒、片山希莉、市原琴音、八辻芭留らが再登場し、東京を舞台に新たなる困難に立ち向かうことになった。しかし、こうなると不思議なもので、もう一作書いて三部作にしたくなる、というのも、私の偽らざる気持ちではある。

 

『アクトレス』
誉田哲也/著

 

【あらすじ】
人気女優が発表した小説をなぞるように「事件」が起こる。偶然とは思えないが、なぜ模倣されたのかは見当もつかない。真相に近づこうとしたとき、ふたたび悲劇が彼女たちに忍び寄る……。『ボーダレス』に続く最新作。対談集『誉田哲也が訊く!』も同時発売

 

誉田哲也(ほんだ・てつや)
1969年、東京都生まれ。『ストロベリーナイト』に始まる〈姫川玲子〉シリーズをはじめ、作風は多岐にわたる。近著は『オムニバス』『フェイクフィクション』。

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