akane
2018/09/17
akane
2018/09/17
二〇〇四年、ネット長者たちがプロ野球球団のオーナーに名乗りを上げたことは記憶に新しい。すっかり大物になった各氏だけど、スタート地点では無名の若者だった。
でも、そんじょそこらの若者とは違っていた。
ソフトバンクの孫正義社長は、一九歳で「人生五〇年計画」を立てた。
「二〇代で名乗りを上げ、三〇代で軍資金を最低で一〇〇〇億円貯め、四〇代でひと勝負し、五〇代で事業を完成させ、六〇代で事業を後継者に引き継ぐ」
ただ計画を立てるだけではなくて、大学時代に翻訳機を考案し、大企業から一億円の契約金を取っている。こう聞けば、さぞかしすごい技術を持っていたかのようだが、実際には大学の研究者を拝み倒して、開発をしてもらったという。報酬は出世払いだというから驚きだ。
入念な計画を立て、情熱を持って格上の人間を引き込み、大金をひっぱってくる。彼らと話した人は、すぐに「これはただものではない」と感じたという。
私が逢出った成功者たちも、初めから違っている。語るべき将来プランがとにかく面白いのだ。
起業でなくても、組織の中の出世でもいい。人の感情を揺さぶる小説や映画を世に出すのでもいいし、前代未聞の研究をしてノーベル賞を取ることを目指すのでもいい。
成功するための手段は人それぞれ。でも、どうやるにしろ、「面白い話」ができることが絶対に必要。
「沈黙は金」ではない。「沈黙は無能」なのだ。
世界中どこでも、人は興奮したいし、笑いたいし、喜びたい。地位も名誉も兼ね備えた退屈な成功者はみんな、物語を待っているのだ。
本当に成功したいなら、あなたがその物語の主人公になり、人を巻き込むことを考える。そして、あなたの将来に賭けてくれる人に話す。ただの友人ではなくて、力がある人に通用する、興味をひくような面白い話を。
また、成功した人は、自分が気に入った若い人に賭けたがるもの。
ルーレットでベットする(賭ける)ように。この若者に、この馬に、ひとつ賭け金を張ってみようか、と思わせることができればいい。
「そんな話聞いたことがない。土台無理でしょ、君」
「よくまあ、そんな無茶なこと考えつくね、あきれたな」
「あんたね、何を考えてそういうことを言うわけ?」
こんな反応を想定しよう。
相手に反論されたら、相手に議論をかますのではなく、まず、「なるほど」と言うこと。その上で、もちろん、逐一反論ができなければいけない。
「初耳なのは当たり前です。世界中で誰もまだやってませんから。でも、必ず大化けするんです。なぜなら……」
「無茶なのは承知です。ただ、三年たてば、主流になっています。なぜなら……」
「私は、この分野は今後急成長すると確信しています。なぜなら……」
相手はまた反論してくるだろう。そうしたら、こう反論しよう、この人を連れていこう、この資料を見せよう、と筋書きを練る。
ハッタリがあってもいい。でも、あなたが信じていない話はダメ。自分自身で完璧に信じる話でなければ、赤の他人は乗ってこない。「このチャンスを逃すと後悔するかも」と、相手側に得があるような話を持っていくことが重要だ。
そのあと、あなたの努力で、ハッタリを現実にしてしまえばいいのだ。
一〇〇点を取ろうと思ったら、一二〇点を取るつもりでがんばらないと、成功はありえない。
あなたがどんな職業でも学歴でも、関係ない。どれだけ面白い話ができるか。これが成功者のスタートだ。
人を巻き込むには、「面白い話」をせよ。
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