東京は「清潔な街」のウソ 1964年のオリンピックまではメチャクチャ汚かった!
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東京を初めて訪れる外国人観光客のなかには、街の清潔さに驚く人が多い。たしかに海外の主要都市とくらべると、東京は清潔で、道端に落ちているゴミや、落書き(グラフィティ)の被害を受けた壁を見かける機会が少ない。

 

なぜだろうか。いつから東京は清潔な街になったのだろうか。 この謎を解く鍵は、どうも1964年大会の前から実施された首都美化運動にあるようだ。

 

1964年大会の東京都報告書には、首都美化運動に関する記述がある。これによれば、首都美化運動は、大都市東京における生活環境の改善を目的としたもので、1962年の年頭に当時の都知事が宣言して始まり、都民総ぐるみの運動として進められた。

 

「首都美化運動のポスター。オリンピックとの関連性が見て取れる」

 

この計画は1970年を目標とした長期的なものだったが、1964年大会を第一目標として組織づくりや実践活動が進められた。つまり、五輪を迎えるために東京をきれいにしようと東京都が呼びかけ、その必要性を都民に伝える準備を進めてきたのだ。

 

その結果、首都美化運動が多くの都民に浸透し、街中に散乱するゴミや紙くずが一掃された。言い換えれば、首都美化運動がなければ、東京は汚い街のままだったとも言える。

 

1964年大会から半世紀以上経った現在でも、東京が清潔な街であり続けているのは、首都美化運動で都民の意識が変わり、清潔さが保たれてきたおかげであろう。

 

 

『オリンピックと東京改造――交通インフラから読み解く』(川辺謙一著、光文社新書)より抜粋しました。

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川辺謙一(かわべけんいち)

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