akane
2019/11/18
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2019/11/18
9月19日に光文社さんより「自分でも気づかなかった美しい声になる歌がうまくなる奇跡の3ステップmethod」を発売させて頂きました。
初めて自分を知って頂く方へのご紹介も兼ねて、少しこの本についても触れさせて頂きたいと思います。
まず私が何者かと言うと、ボイストレーナーであり、「DuelJewel」というバンドで歌を歌っている者です。
10代で結成し、20年以上活動を続けているバンドなので人生のほとんどをDuelJewelの隼人として歩んできました。20年に渡る音楽活動の日々には、本当に様々な事が起こります。CDなどの作品のリリースから、全国各地を巡るライブツアー。海外でも公演をさせて頂き貴重な体験になりました。いつかプロになりたいと志した少年時代、そこから一つ一つライブを重ね、多くの方の応援のお陰でプロとなり、無我夢中で走り続けて来た音楽人生でしたが、そんなかけがえのない日々がある日を境に大きく崩れてしまいました。
突然、声のコントロールがうまくいかなくなり、満足に歌えなくなってしまったのです。
医師の診断結果は「機能性発声障害」
歌を歌ったり、大きな声を出そうとすると声が裏返ってしまったり、喉の筋肉の緊張が起きて、声が詰まったりしてしまう障害です。
悪い意味での「夢を見ているような気がした」のを今でも憶えています。
でもそれは確実に起こった事実として、レコーディングやライブに影響を及ぼして行きました。
何か元のように歌える為の手立てはないかと、あらゆる可能性を考えて探し回りました。
様々な治療を行ったり、発声のトレーニングを行いましたが、満足のいく効果を得られる事はありませんでした。
やれる事は全てやったがダメだった。このままメンバーやファンの皆さんに迷惑をかけられない。
歌をやめる時がきたんだ。
覚悟を決めてメンバーに気持ちを打ち明け、2016年にバンドを解散する事になりました。
ZeppTokyoでの解散ライブの時、不思議と悲しみや寂しさはありませんでした。
後悔する隙間がないほど、やれるだけの事はやったと言う、ある種の達成感のようなものがありました。これだけ素晴らしいメンバーやスタッフ、ファンに支えられて幸せでした。
期待には応えられなかったけど、声が出なくなるまで歌えたんだ。
と自分を納得させるしかなかったのかもしれません。
解散ライブの翌日。
初めて音楽から離れ、なんでもないタダの1人の男になった時、いつも通りの朝が来て、愛犬といつもの広場に立った時
「なんだ生きてんじゃん」と、初めて肩の荷がおりたような気持ちになりました。
音楽こそ我が人生。
と思っていましたが、音楽を辞めてもそこには自分がいて、少し静かな日常があるだけの事でした。
中学を出てプロを目指してから、初めてと言っていいくらい、ゆったりとした時間が流れて、自分自身を見つめ直す事が出来ました。
その時に感じた事は
音楽のおかげでメンバーに出会えて、様々な経験が出来て、ここまで来る事ができた。
いつか時期がきたら音楽に恩返しをできる人間になろう。
何が出来るのかは全くわかりませんでしたが、そう心に決めて新しい日々を歩むことにしました。
その1年後、私はある奇跡的な体験をきっかけに歌声を徐々に取り戻し、その間に自分に何が起きているのかを解明しながら、これまでの発声と違い、何をすれば声がもっと楽に効果的に出るのかを研究しました。有難い事に、医師や治療家、スポーツトレーナーなどの専門家のご協力も頂きながら発声障害を克服する事ができ、今ではその経験を活かして著名な歌手や声優も担当させて頂くボイストレーナーとなりました。
DuelJewelも復活しボーカリストとしても再始動する事が出来ましたが、一体なにが起きて人生を大転換出来たのか…。
そんな内容を、思いっきり書かせて頂いたのが
「自分でも気づかなかった美しい声になる歌がうまくなる奇跡の3ステップmethod」
で御座います。
是非皆さんにご一読頂きたいのですが、本の宣伝はさておき。
今回は「本がすき。」をご覧の皆さんに手軽に出来て声がみるみる出しやすくなる手法をお伝えしたいと思います。
実は先日、ある大学で発声についての講演をさせて頂いたのですが、その際に30名程のアカペラのグループの練習を見学させて頂きました。
皆さんとてもレベルが高くて驚いたのですが、同時に、もっと楽に歌う事が出来れば更に素晴らしいものになるぞと思い、僭越ながらアドバイスさせて頂きました。
その内容と言うのが今回皆さんにもお伝えしたい声がだしやすくなる方法なのですが大切なポイントは「アゴ」です。
試しにお近くに鏡があれば、横を向きながら立ってみて、ご自分の姿勢を見て下さい。
真っ直ぐ立ってているでしょうか?その際に、首の角度に注意してみて下さい。
アゴが前に出て、背中が丸まっていませんか?
街に出て、人々の姿勢やアゴに注目してみると、上記にあてはまる方が多いことに気づくはずです。特に電車の中では椅子に座っている状態で、首が前に出ながらスマホを操作されている方が多いように見受けられます。
大学での講演の際に伺ったのですが、大学生の方だと、中学生くらいの頃からスマホが存在して、私たちの日常生活にもとけこんでいます。スマホと姿勢の崩れの因果関係は断定は出来ませんが、「スマホ首」などと言う言葉がある通り、少なからず原因として存在するのではと考えられます。
革命的な技術により便利で楽しく、無くてはならない存在でもありますが、その一方で若くして姿勢を崩してしまいやすい時代になっているとも言えるでしょう。
かく言う私もiPhoneがリリースされてから、常に最新機を愛用しているヘビーユーザーでして、手放すつもりも毛頭ありません。
要は体の状態を崩さぬように、どう付き合っていくかです。
話を元にもどして、声を出しやすい状態と言うのは正しい姿勢に答えがあります。
以下の方法を試してみて下さい。
鼻の下に人差し指を横に置いて、頭を持ち上げるように背を伸ばしながら姿勢を正してみて下さい。
綺麗に立てているのではないでしょうか。
その状態から声を出すと、不思議と響きのある声が出ているはずです。
これは姿勢を簡単に整えて、結果として体が自然と声を出しやすくしてくれるからです。
簡単だけど非常に効果的な手法なので、私も1日に何度か鼻の下に指を置いて姿勢を正すようにしています。
アゴが前に出ているのであれば、しっかりと引き、骨盤も同時に起こしてみて下さい。
たったこれだけの事で体のサポートを受けて、声は出しやすくなります。
陸上競技の選手がアゴを前に出して走っている人がいないように、声を出すと言うことも体を使う以上はスポーツに近いと思います。
より力強く、繊細さが求められるプロの歌手の現場では、歌唱のテクニックはもとより、この姿勢や呼吸に関する私どものトレーニングを行うと非常に大きく成長されます。
最近ではプロのように喉を酷使する環境にないセミプロの方や一般の職業の方でも、喉の過緊張や声のかすれなど、発声に悩む方が増えてご相談も多く寄せられます。
共通するのは姿勢の崩れです。
私も過去の自分の映像などを見返すと、歌う際の姿勢に問題を沢山発見しました。
自分を戒めながらも、同じような発声のトラブルを起こす方を少しでも減らし、より良い声で歌や会話を楽しんでくれる方が増えるように、この本が役に立つことを願いつつ、これからも活動を続けて参りたいと思います。
著者:山森隼人(やまもり はやと)
ヴィジュアル系ロックバンド「DuelJewel」のボーカルとして約20年間にわたり国内はもとより海外でのライブも精力的に行うが、2016年に解散。原因は歌唱の際に突然声のコントロールが利かなくなる「機能性発声障害」を発症した為。その後、発声についての研究と独自のリハビリトレーニングを行い、完治。その経験を活かし、発声に関する悩みを抱えるアーティストをサポートするため「Re ボーカルコーチング」を発足。 医療機関やスポーツトレーナーとも協力しながら、「flumpool」をはじめ多くのアーティストのステージ復帰を実現している。 2019年には「DuelJewel」も復活し、全国ツアーを行う。
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