akane
2018/02/20
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2018/02/20
歴史の勉強方法といえば“年号暗記”。徹夜で覚えたモノだが、コレ、今どきはそうでもないらしい。じゃあ何が大事なのかといえば「因果関係」で、歴史的事象の背景にある原因・理由を探る作業が重要視されているという。そのあたりの事情を、『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)などでもおなじみ、歴史作家の河合敦先生に詳しく聞いた。
■暗記重視から、原因を調べて考える指導方法に
「確かに我々が子供のころと比較して、日本史の指導方法は大きく変わっています。教育指導要領が変化しており、今は年号を覚えるよりも歴史の流れや『なぜそうなったのか?』といった原因を調べて考えることに、重きを置く指導がされています」(河合先生/以下同)
なんと! あんなに必死に覚えた年号は無駄だった!?
「いえ、そうではありません。今でも重要な年号はやはり覚えるべきです。ただ、あまりに単純暗記を重視した結果、“日本史=暗記モノ=苦手”という歴史嫌いをたくさん作ってしまった。そんな反省が指導する側にはあるんですね」
■大人は日本史を逆から学ぼう!
河合先生は昨年まで高校の教壇に立っていた日本史の教師でもある。先生、今から学び直しをしたいと思っている大人世代は、どうすればいいんでしょう?
「大人の方には、日本史を“逆から学ぶ”ことをお勧めします。近現代から古い時代に向かって『どうしてそうなったんだ?』と問いを重ねてさかのぼる学習法です。推理小説を読むように日本史を紐解いていける、効率的なやり方ではないでしょうか」
河合先生は最新刊『日本史は逆から学べ』(光文社刊)でそれを通史で実践し、近現代から原始・古代まで「なぜ?」「どうして?」だけでさかのぼっていったという。
■推理小説のように日本史をさかのぼる
「例えば『なぜ日本はアメリカと戦争をしたのか?』、これって実は『すでに始まっていた日中戦争の泥沼化を打破するため』なんです。じゃあ、『なぜ日本は中国と全面戦争をしたのか?』、いろいろ理由はありますが、大きな要因は『国民が軍部の拡大路線を支持したから』なんですね。じゃあ『なぜ当時の日本人は軍部を支持したのか?』というと、直前まで続いた『政党政治』に嫌気がさしたから。じゃあなんで政党政治が……と、どんどんと因果関係をたどっていくんです」
確かに推理小説みたい! 年号暗記で日本史を挫折した大人世代には、ありがたい勉強法だ。
「2022年には教育指導要領が変わり、歴史的思考力を育成することを目標に、歴史の授業は暗記から原因を調べる教え方に、本格的に移行します。大人世代は年号を覚えた強みを生かしつつ、こういった因果関係にもすこし触れると、より深く日本史が分かるようになりますよ」
この夏は大人の学び直しに、日本史の因果関係をざっくり頭に入れてみては?
【著者略歴】
河合敦(かわいあつし)
1965年、東京都生まれ。早稲田大学大学院博士課程単位取得満期退学(日本史専攻)。多摩大学客員教授、早稲田大学非常勤講師。『世界一受けたい授業』(日本テレビ)など、テレビ出演も多数。主な著書にじっぴコンパクト新書シリーズ『世界史もわかる日本史』『世界史もわかる日本史<近現代編>』(ともに監修/実業之日本社)のほか、『吉田松陰と久坂玄瑞』(幻冬舎新書)、『外国人がみた日本史』(ベスト新書)などがある。
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