福山型先天性筋ジストロフィーの真心ちゃん、春から小学生に
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真心ちゃんは5歳の女の子。「福山型先天性筋ジストロフィー」の患者さんでもある。

 

「福山型先天性筋ジストロフィー」とは、先天性の遺伝子の異常が原因になっている疾患。小学校低学年くらいで筋力のピークを迎え、その後、徐々に寝たきりになっていき、若くして亡くなる人も多い病気だ。現在保育園に通っている真心ちゃんも、周りの人の全介助を受けながら生活している。

 

そんな真心ちゃんが生まれてからの家族の苦悩や葛藤、喜び、娘に対するあふれる思いを、母親の目線で綴ったのが、書籍『えがおの宝物―進行する病気の娘が教えてくれた「人生で一番大切なこと―』。昨年の8月に出版以来、同じ病気を抱える子どもの親御さんなどを中心に大きな反響を呼んでいる。

 

同書の中で「つらいときは思い切り泣いて、楽しいときは思い切り笑う、自分の心に正直に素直に生きていい。そう教えてくれたのは、まぎれもない真心だったのです」と語っていたのが母親の加藤さくらさん(34)さん。親業インストラクター、心理カウンセラーとしても活動しているさくらさんに、彼女の元に届いた本の感想などについて訊いてみた。

 

「病気や状況は違えども、子どものことで悩む親御さんから、『本を読んで、改めて子どもの顔を見たら、とても楽しそうにしているので、子どもが笑っているのならそれでいい、と思えるようになった』、『まだ来ぬ未来への不安や、もう戻れない過去への後悔の中に生きるより、子どもを見習って、もっと“今”を感じて生きていきたいと思います』など、たくさんの感想やご意見をいただきました。多くの親は、子どものことを自分のことのように心配します。でも子どもは、そんな親の心配をよそに、“今”という時間を楽しむことに夢中なんですね。真心もそうです。楽しそうに笑っている真心を見ていると、真心が病気であることを、つい忘れてしまいます」

 

実際、真心ちゃんはいつもニコニコと微笑み、その様子につられるかのように、さくらさんも笑顔が絶えない。

 

新しい環境にワクワク

 

真心ちゃんが最近ハマっているのは、車のハンドルつきおもちゃ。

 

「新幹線や自動車、バイクなど乗り物が大好きなんです。指さして“たーい(乗りたい)”と言うので、サンタさんが昨年の冬、車のハンドルつきのおもちゃをプレゼントしてくれました。足の裏の筋や股関節を伸ばすために装具をつけてリハビリするときも、このおもちゃがあればいつもより長くがんばれます!」

 

真心ちゃんは4月から小学生。特別支援学校に入学する予定だ。

 

「今はiPadで、よそのお子さんの入学式の動画を自分で検索してよく見ていますね。新しい環境にワクワクしている様子です」

 

「保育園のお友だちは、それぞれ学区内の小学校に進学しますが、真心は自宅から車で20分ほどの距離にある特別支援学校に行くため、新しいお友だちに出逢うことになります。真心は人と関わることが大好きなので、全く心配はしていません。ただ、いわゆる健常児のお友だちと関わる機会がぐんと減るので、学校以外の時間に意識していろんなお友だちと関われるようにしていきたいと思っています」

 

それでも身体が成長してくるとともに、関節周りの筋肉の硬縮が増したり、腕が上がりづらくなるなどということがあるという。

 

「病気が進行しているのかな、と感じ、はぁ…とため息をつく私とは裏腹に、本人は上手く自分の身体を使って生活していて、楽しくやっています。よって、私もすぐに切り替えて楽しくやっています!」

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えがおの宝物

えがおの宝物進行する病気の娘が教えてくれた「人生で一番大切なこと」

加藤さくら(かとう さくら)

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