ストリートファッションは生き残るとトラッドとなり、また次のストリートファッションの種となる 『ストリート・トラッド』

大山 ヴィレッジヴァンガード新店立ち上げ隊長

『ストリート・トラッド』
佐藤 誠二朗 /著 矢沢 あい/イラスト

 

 

「いつも好きな音楽が先にあり、それを追いかけるうち必然的に好きな服は決まっていった。」(あとがきより)

 

ストリートファッション=アンチファッションであり、「大人が作った社会規範に対する若者の反抗の証として生まれてくるもの」だと著者の佐藤氏は表現しています。

 

若者の反抗とか言われると「校舎のガラス割る的な何か」を想像してしまいそうになりますが、ストリートファッションがいつも不良少年と不良少年が好む音楽から生まれる説明として納得です。

 

ただ、今も生き残っているストリートファッションはモッズもパンクスもスケーターもみんな「テイスト」って付けられて結局新たなトラッド(伝統)になっています。

 

アンチファッションだったストリートファッションは大衆に受け入れられて生き残り、伝統性を獲得することによって新たなトラッドとなる、という二面性があります。

 

音楽とストリートファッションの密接な関係性と、ストリートファッションの抱えるこの二面性が「ストリート・トラッド」という本の大きなテーマだと思います。

 

ただ、今は音楽との関係性がわからないストリートファッションも多いし、受け入れられたのか?取り込まれたのか?の境目もすごくあいまいですが…

 

louis vuittonとSUPREMEのコラボでどの音楽からの影響なんて一言で言えるようなものは思い浮かびませんし、どちらが主体かなんて判断もつきません。

 

音楽もファッションもなんでもリミックスしてサンプリングしてコラボするのが当たり前な時代だから今はもうストリートファッション=「若者の反抗の証」ってベタ過ぎて成立しなさそうです。

 

そんな時代に今の若者は何に反抗してるんでしょう。

 

いや、別にしなくてもいいのかもしれませんが。

 

おじさんが若者に「君たちは何に反抗するんだ」なんて聞いても反抗的に「なんで反抗しないといけないんスか」とか言われそう!

 

そんな時代だからこそ、「オリジナル」や「ルーツ」の背景にある物語を知り、音楽やファッションを再発見することはおもしろい、とも言えます。

 

次の流行が「温故知新」からいろんなものをリミックスしてサンプリングして生まれる時代でもあるんですから。

 

何かに対する反抗ではないとしても。

 

しかし時代時代言ってるとなんか大きなこと言ってる気がして恥ずかしいですが、おじさんがおじさんになりきれない時代でもありますよね。

 

ビッグシルエット、体形隠せてむしろおじさんに優しいよね…

 

あと、矢沢あい先生のイラスト、本当に素敵です。

 

パンクスだけやたらバリエーション多いのは矢沢あい先生だから…?

 

個人的には80年代に少女マンガ誌でパンクスを描きまくってた富永裕美先生のイラストでも見たい!

 

ー今月のつぶやきー

 

 

ゾンビランドサガをずっと観てます。
外国人がゾンビランドサガ観てリアクションしてるだけの動画まで観てしまった…

 

 

『ストリート・トラッド』
佐藤 誠二朗 /著 矢沢 あい/イラスト

この記事を書いた人

大山

-oyama-

ヴィレッジヴァンガード新店立ち上げ隊長

本は読むのと同じぐらい、新しい本を探すのも読んだ(あるいは読んでない)本について語るのも好き勝手に本棚に並べるのも好きです。 人の本棚見るのも大好きです。

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