2018/08/31
でんすけのかいぬし イラストレーター
『ロビンソン・クルーソー』光文社古典新訳文庫
デフォー/著 唐戸信嘉/訳
『ロビンソン・クルーソー』、みなさまのなかにはなんとなーく内容を知っている方も、読んだことあるよ!という方もいるだろう。
私の記憶の中の『ロビンソン・クルーソー』は『ガリバー旅行記』と混ざっていた。
しかもガリバー旅行記もちゃんと読んでいない……読みます、すみません。
さて、ロビンソンさん。
序盤で、航海なんて危ないからよしなさいと両親や友達の親にまで言われたのに航海に出て、嵐に遭い、たくさん死亡フラグが立っているのに、それでも航海に出たい!というロビンソンさんに、ねぇ!わかるよねぇ!もうちょっと学習して!!とやきもきするのを通り越してイライラしてしまった人も多いのではないだろうか。
無人島に流れ着き、サバイバル生活になる前にはギニアで商人になったり、ブラジルで農園を経営して植物の育て方をマスターしたりと、本人は気づかずとも(これも運命なのか)実は着々と“無人島生活の準備”をしていることが面白い。
何もないところから道具を作り上げることの難しさは、絵を描こうと白い紙を広げた時に似ていると思う。
“白紙に、どんな道具を使い、どう描けば自分の思い描いていた絵になるのか”これだけでも難しいのに、そのための絵の具や筆から自分で作るとなると途方に暮れてしまう。
コツコツと家が出来ていく様子や食料確保の仕方は、ワクワクしながら見守るように読んでしまった。
サバイバルは手段を選ばず早急に対処しないと命取りになる。
敵を排除し、味方にできるものは味方にする。
孤独を乗り切るために心の支えが欲しい……どんな状況でも心が折れたらお終いだし、実際に食人族が「食えるやつはいねが~!」と襲ってきたら……その恐怖は経験してみないとわからないだろう。(わーん、経験したくないよぉ~)
ロビンソンさんは生き延びるために人を脅すし、殺すし、利用するくせに、聖書を読んで神に祈る。
これだけ聞くと良い人なのか悪い人なのかわからない。
神と対話しながら自分のしてきたことを振り返る。
冒険者、商人、開拓者、支配者などなど、ロビンソンさんにはいろんな顔があるのだった。
ゼロから何かを作りだすこの話は、TOKIOのDASH村とかDASH島を連想させる。
……が、ふざけた脳みそを持っている私が、内容を読む前にイラストだけパラパラと最後まで見ていたら脳内で、
……というユーコンの大自然の中で髪を石鹸で洗っているときの大泉洋の声が聞こえてきてしまった。
なぜなら私は「水曜どうでしょう」ファンだからだ。
こうなると39ページの絵は藤村Dに怒られている大泉洋に、48ページの海賊たちに捕らえられている絵は「どうでしょう」の企画内の大泉拉致事件でラグビー部に連れていかれる大泉洋に、119ページのバリケードの絵はバリケードというにはただのテントすぎて、マレーシアジャングルの動物観察小屋で虎が出た(実際にはシカだった)ときにミスターこと鈴井貴之が虎除けにつくったペラッペラのマットレスのバリケードに見える。
もうだめだ。
「無人島生活ぅ?バカ言ってんじゃないよぉ!じょ~だんじゃないよぉぅ!」
私の中のロビンソンさんはボヤきまくっていた。
問答無用で藤村Dの声がする。
「ここをキャンプ地とする。」
『ロビンソン・クルーソー』光文社古典新訳文庫
デフォー/著 唐戸信嘉/訳