akane
2018/09/24
akane
2018/09/24
みんな「萌え」が好きである。
それは日本だけの特殊な状況であると、萌えを消費する主体であるオタク(私のことだ)自身が考えていたのだが、今や萌えコンテンツの消費は世界中で行われており、必ずしも特殊な嗜好や趣味であるとばかりも言えなくなった。むしろ、日本人の特殊な感性でしか作れないと思われていた萌えコンテンツを生産する海外ユーザも現れて、萌えコンテンツ業界での日本の特権的な地位が失われることを心配しなければならない時代になったのだ。
たとえば、クリミアの「美しすぎる検事総長」ナタリア・ポクロンスカヤ氏を二次元化したイラストはベトナムのユーザが描いたものだと言われているし、台湾などは都市の景観が日本以上に萌えに満ちている。公共交通機関が萌え絵にラッピングされて走る姿は世紀末的景観を超えて、人類の次の到達点を示すかのようだ。
BBCでも取り上げられたIK氏のイラストとナタリア・ポクロンスカヤ氏
https://www.bbc.com/news/blogs-news-from-elsewhere-26663168
台湾のラッピングバス
http://mjapan.cna.com.tw/news/atra/201512240006.aspx
二次元キャラクタを消費する利用者は、インターネットと親和性が高く、インターネットの現状を考える上で、きっと避けては通れない話題であるだろう。かなり外連味の強いトピックではあるのだが、一度真面目に考えておこうと思う。
そもそも「萌え」とは何だろうか。
この言葉は巷間にかなり膾炙したので、さまざまな場面で使われ、意味が拡散し、再生産されてしまっている。たとえば、中高生を使った売春のことを「萌え系風俗」などと呼称するのはその一例だろう。
しかし萌えは、一義的には二次元キャラクタに対する性的な欲望を含んだ執着を指す言葉だろう。ここで起源論を展開するつもりはないが、萌えはポルノとも違う。萌えコンテンツを制作するとき、性の予感や気配を漂わせるのは重要なことだが、ポルノにしてしまうと、もともとの萌えの動機と運用からは外れてくる。
株式会社光文社Copyright (C) Kobunsha Co., Ltd. All Rights Reserved.