ryomiyagi
2020/08/31
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2020/08/31
「ラ・メール・プラール」は、フランス・ノルマンディー地方の““モン・サン=ミッシェル”“を代表とするビスケットメーカー。
創業は1888年にまでさかのぼります。缶にも描かれている女性、アネット・プラールが夫であるヴィクトル・プラール氏とともに1888年“モン・サン=ミッシェル”を訪れる巡礼者たちのために宿屋を開業。アネットは、長旅で疲れきった巡礼者たちのため、栄養価が高く、ボリュームのある食事を提供するようになります。中でも有名だったのはオムレツ。このオムレツのレシピは現在も受け継がれ、「ラ・メール・プラール東京」のレストラン(東京・丸の内)でいただくことができます。
そんな料理上手なアネットは、現在のように流通もままならない離れ小島の“モン・サン=ミッシェル”で700種類ものレシピを生み出します。そのレシピの1つにあったのが、このビスケットのレシピだったんですね。
一世紀以上に渡り、“アネットのビスケット”は“モン・サン=ミッシェル”のプラールの宿屋でしか食べられませんでしたが、多くの要望を経て、現在では国内外で楽しめるようになりました。現在では国内外でこのビスケットを楽しむことができるようになりました。
さまざまな料理で温かく巡礼者をもてなしたアネット。いつしか“モン・サン=ミッシェル”の宿屋兼レストランの名物マダムとなり、人々はアネットを讃え「ラ・メール・プラール(プラールおばさん)」と呼ぶようになり、これが現在も残る社名になっています。
「ラ・メール・プラール」に限らず、ヨーロッパでお菓子というのは大抵、ビニール袋や紙袋に入って売られています。何しろ日常的に食べるものなので、いちいち缶に入っていてはコストもかかるし、無駄な缶がたまっていくばかりです。なので缶入りのビスケットやクッキーは土産ものやギフト用、何かの記念で作ることが多いといいます。
「ラ・メール・プラール」も宿屋の開業120周年にあたる2008年にはじめてこの赤い缶が登場。現在発売されている缶のデザインもビスケットを浮き彫りにした以外、変わっていません。
「ラ・メール・プラール」の色である赤を基調に、創業者であるアネットの写真や“モン・サン=ミッシェル”の風景画、中に入っているサブレがプリントされています。
そして缶に描かれた文字と缶まわりを囲む植物を連想させるような独特の文様。これは19世紀から20世紀初頭にかけて開花した美術運動“アール・ヌーヴォー”を取り入れた文様になっており、そのためエンボス加工などしなくともプリント技術だけで美しい“装飾缶”に仕上がっています。
そしてもう1つ注目してほしいのがこの缶の大きさと形。通常、缶菓子に使われる缶の大きさや形というのはある程度決まっており、そのため、似たような大きさや形の缶が多いんですね。ところが「ラ・メール・プラール」の缶の大きさと形というのは、他で見たことがありません。それもそのはず。“他では入手できない形”であることにあくまでもこだわり、この正方形の缶にこだわったのだとか。
入手方法もなかなか独特で、ネットで検索してもほとんどヒットしません。先にも書いたレストラン「ラ・メール・プラール東京」か、「生協」(宅配)、「ロハコ」(ただし缶以外の製品)でしか手に入れることができません。
リミテッド缶は、エアラインの機内販売用に開発された商品。そのためコレクター缶に比べると小ぶりでバッグにも入れて持ち運びやすいサイズ。お値段も1000円以下で手が届きやすい商品です。缶コレクターの間でも“隠れ名品”と言われています。こちらもレストラン「ラ・メール・プラール東京」か、「生協」(宅配)のみで手に入れことができます。
オンラインショップ全盛の中、あえて入手しにくい「ラ・メール・プラール」のビスケット缶。だからこそ自分へのご褒美や大切な人へのギフトとして使いたいですよね。
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