akane
2019/04/01
akane
2019/04/01
Genre: Rock, Folk Rock, Pop
Rubber Soul – The Beatles (1965) Parlophone, UK
(RS 5 / NME 43) 496 + 458 = 954
※10位、9位の2枚が同スコア
Tracks:
M1: Drive My Car, M2: Norwegian Wood (This Bird Has Flown), M3: You Won’t See Me, M4: Nowhere Man, M5: Think for Yourself, M6: The Word, M7: Michelle, M8: What Goes On, M9: Girl, M10: I’m Looking Through You, M11: In My Life, M12: Wait, M13: If I Needed Someone, M14: Run for Your Life
前回に続きザ・ビートルズだ。しかも同スコアだった。よって、当ランキングのルールに沿って、「より古い」本作のほうが上位に入った。興味ぶかいのが、またしても〈ローリング・ストーン〉と〈NME〉のあいだで意見が割れていることだ。両者のあいだで、ねじれ現象が起こっている。
〈NME〉は前回の『アビー・ロード』(69年)を、本作よりも上位に置いていた。〈ローリング・ストーン〉はこっちを上にしているどころか、堂々の第5位だ。そして集計した結果、当リストではここに位置することになった。僕の意見では……じつに難しいところではあるのだが「これでいい」と思う。音楽的な達成度や、アルバムの完成度の高さは、比べるまでもない(あっちのほうが「上」に決まっている)。だがしかし、ここにある「若さ」は、青春の輝きには、かけがえのないものがあると考えるからだ。彼ら6枚目のイギリス盤オリジナル・アルバムが本作だ。
オープニングの「ドライヴ・マイ・カー」が、まず素晴らしい。ロックのサブジャンルに、パワー・ポップというものがある。マージービート的なポップ・ロックを指向するものなのだが、これは「中期ビートルズ」の楽曲やアレンジ、ハーモニーを理想としている。初期の彼らの「楽しさ」に、より豊かな音楽的アイデアが加えられた……そんなパワー・ポップの「理想像」を知りたければ、この曲を聴けばいい。
それで続く2曲目が「ノルウェージャン・ウッド」なのだから、びっくりするほかない(ちなみに、よく言われる話だが、村上春樹の小説タイトルでもある「ノルウェイの森」という邦題は、完全なる誤訳だ)。ジョージ・ハリスンが弾くシタールが、メランコリックなこの曲に特異な陰影を与えている。パワー・ポップ元ネタの次にシタールなのだから、その違いっぷりがすごい。本作が冒険的なアルバムである、という証しだ。また、「俺らは新しいことをやってやるんだ!」という若者らしい高揚が、この2曲の「違いかた」から浮き上がってくる。そこに本作の魅力がある。
(後編に続く)
※凡例:
●タイトル表記は、アルバム名、アーティスト名の順。和文の括弧内は、オリジナル盤の発表年、レーベル名、レーベルの所在国を記している。
●アルバムや曲名については、英文の片仮名起こしを原則とする。とくによく知られている邦題がある場合は、本文中ではそれを優先的に記載する。
●「Genre」欄には、収録曲の傾向に近しいサブジャンル名を列記した。
●スコア欄について。「RS」=〈ローリング・ストーン〉のリストでの順位、「NME」は〈NME〉のリストでの順位。そこから計算されたスコアが「pt」であらわされている。
●収録曲一覧は、特記なき場合はすべて、原則的にオリジナル盤の曲目を記載している。
この100枚がなぜ「究極」なのか? こちらをどうぞ
Twitterはこちら@dsk_kawasaki
株式会社光文社Copyright (C) Kobunsha Co., Ltd. All Rights Reserved.