akane
2019/05/06
akane
2019/05/06
Genre: Alternative Rock
Nevermind – Nirvana (1991) DGC, US
(RS 17 / NME 11) 484 + 490 = 974
※5位、4位の2枚が同スコア
Tracks:
M1: Smells Like Teen Spirit, M2: In Bloom, M3: Come as You Are, M4: Breed, M5: Lithium, M6: Polly, M7: Territorial Pissings, M8: Drain You, M9: Lounge Act, M10: Stay Away, M11: On a Plain, M12: Something in the Way
※M12のあとに「Endless, Nameless」という隠しトラックが収録されていた。
リリース時の爆発力だけで言うなら、マイケル・ジャクソンの『スリラー』(82年、36位)にも匹敵する。90年代初頭の米英を覆ったオルタナティヴ・ロックの大流行、いわゆる「グランジ」ブームの発火点となったのは、この1枚だ。本作の大ヒットが、文字通り、物理的に、商業音楽界の「風景を一変」させた。
米ワシントン州はシアトル周辺の「インディー」シーンを根城としていたバンド、ニルヴァーナのセカンド・アルバムであり、メジャー・デビュー作となったのが本作だ。売れに売れた。発売後約1カ月の91年の11月には早くもプラチナム認定、翌92年の1月にはマイケル・ジャクソンのアルバム『デンジャラス』を押しのけて、ビルボード・チャート1位の座まで奪取してしまう。これは、一大事件だった。
たとえばM1「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」。すさまじい勢いでシングルが売れた。91年の暮れにニューヨークにいた僕は、このありさまを目撃した。MTVが2時間に1回以上の頻度でMVをオンエアしていた。あらゆるレコード店にポスターが貼られていた。あり得ないことが起きていた。当時の米メインストリームでは「ロック・バンド」は完全に流行遅れの「はず」だったからだ。
80年代の終盤からこの当時まで、米ポップ音楽シーンを覆っていたものをランダムに記していくと――まずはシンセポップ、当時のマドンナに代表される希釈されたダンス音楽、日本では「ブラコン」と呼ばれたソフトでスウィートなR&B、それからボーイ・バンド――これらすべてを、ニルヴァーナは粉砕した。このアルバムで蹴散らして、木っ端微塵にした。そして荒々しく、生々しいロックを復権させた。彼らの傍らで互角に渡り合えたのは、当時、黄金時代を迎えつつ あったヒップホップ勢のみだった。
鍵となったのは、まずはギター・サウンドだ。最重量級のヘヴィメタルもかくやというほどの音圧のディストーション・ギターが、キャッチーきわまりない「リフ」を鳴らす。「ベイ・シティ・ローラーズとブラック・サバスの合体」と呼ぶ声もあった。ドラムスのアタックも「マッシヴ」だ。のちにフー・ファイターズのフロントマンとして成功するデイヴ・グロールは、優秀なドラマーでもあった。メロディアスなベースは、クリス・ノヴォセリックだ。そして、ヴォーカルにしてギターのカート・コベイン――なかでも、彼の「声」の迫力を、僕は特筆したい。
(後編に続く)
※凡例:
●タイトル表記は、アルバム名、アーティスト名の順。和文の括弧内は、オリジナル盤の発表年、レーベル名、レーベルの所在国を記している。
●アルバムや曲名については、英文の片仮名起こしを原則とする。とくによく知られている邦題がある場合は、本文中ではそれを優先的に記載する。
●「Genre」欄には、収録曲の傾向に近しいサブジャンル名を列記した。
●スコア欄について。「RS」=〈ローリング・ストーン〉のリストでの順位、「NME」は〈NME〉のリストでの順位。そこから計算されたスコアが「pt」であらわされている。
●収録曲一覧は、特記なき場合はすべて、原則的にオリジナル盤の曲目を記載している。
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