akane
2018/12/21
akane
2018/12/21
本書では、「まあまあ」と対立しているものを隠蔽する、日本文化の傾向にあえて逆らって、日本的な「恋愛」とヨーロッパ的な「恋愛」の対立をはっきりさせていこうと思います。
この対立を正確に捉えるためには、やはりヨーロッパの恋愛観の歴史的な展開を捉えておく必要があります。ところがヨーロッパの恋愛観を捉えようとすると、どうしても話は古代ギリシャまで飛んでいきます。欧米文化の基層は、やはりギリシャのヘレニズム文化だからです。一般に欧米文化のその基層は、ヘレニズム文化と、ユダヤ・キリスト教の世界観が複雑に入り混じり展開していったものです。恋愛も当然その文化の変動のうねりの中で練り上げられていくコンセプト、あるいは制度である、ということになります。(「イントロダクション」より)
鈴木隆美(すずきたかみ) 福岡大学人文学部フランス語学科准教授。1976年生まれ。開成高校、東京大学理科I類を経て、同大学文学部卒。同大学大学院人文科学研究科博士課程修了。ストラスブール大学にて文学博士取得(2010年)。専門はプルーストを中心とする一九、二〇世紀フランス文学、特に一九世紀末フランスイデアリズム舞踏論。
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