ryomiyagi
2020/12/17
映画史特別講義
ryomiyagi
2020/12/17
見る上で重要なのは、異質なものに晒され、葛藤すること
映画は自分の好きなものを、他人の視点など気にせずに自由に見ればいい。ただし、優れた映画には必ずハッとする瞬間があり、それを逃がしてはならない。映画が分かるということは安心感をもたらすが、そこで満足するのではなく、その安心を崩す一瞬にまずは驚かなければならない。そして、驚きだけを求めてはいけないし、安心ばかりしているのも否。その塩梅は、画面と向き合う孤独というものを体験することのみで得られる。どのような瞬間に目を見開き、驚くべきかは実際にある程度分かるものであり、その会得のために見ることのレッスンは存在する。サイレント、ドキュメンタリー、ヌーベル・バーグ、そして現代まで120年を超える歴史を、シネマの生き字引が初めて新書で案内。
(はすみしげひこ) 1936年東京生れ。映画評論家、フランス文学者。’60年、東京大学文学部仏文学科卒業。’65年パリ大学大学院で博士号取得。東京大学教養学部教授を経て、東京大学第26代総長。映画雑誌「リュミエール」の創刊編集長も務める。’77年『反=日本語論』で読売文学賞、’83年『監督 小津安二郎』(仏訳)で映画書翻訳最高賞、’89年『凡庸な芸術家の肖像』で芸術選奨文部大臣賞、’16年『伯爵夫人』で三島由紀夫賞をそれぞれ受賞。’99年、フランス政府「芸術文化勲章」を受章。著書は『夏目漱石論』『表層批評宣言』『映画論講義』『「ボヴァリー夫人」論』など。
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