疲れがとれない…疲労を放置するリスクとは一体?
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風邪をひくことが決して珍しいことではないように、疲れを感じることも、とりたてて大きな問題ではない。風邪をひいたからといって、毎回病院で診察を受けたり、薬を処方してもらったりする人は、それほど多くないだろう。「少し、おとなしくしていれば治る」として、通常の生活を送る人が大半ではないだろうか。

 

一方、疲労はどうだろうか。「疲れているから、少し睡眠時間を長めにしよう」など調整できれば良いだろうが、溜まっている仕事を放置することもできず、家事や育児を人任せにすることもできず、結局、毎日同じ生活を繰り返し、疲労が蓄積していく一方……。そんな人も多いのではないか。

 

疲労は負債と同じである。その都度、返済していかなければ、いつのまにか積もり積もって大きな負担になりかねない。疲労が少ないうちは、少し生活習慣を見直すだけで回復できるかもしれないものを、一旦放置して程度が大きくなってしまってからは、解消するのに苦労するのは間違いない。

 

また、疲労を放置するリスクとして見逃せないのは、ミトコンドリアへの影響である。ミトコンドリアは、体内にあるエネルギーの生産所である。全身の細胞のなかに存在し、食べものから得た糖や脂質、呼吸で得た酸素を使ってATP(アデノシン三リン酸)と呼ばれる物質を作っている。

 

このATPは、人間が体を動かすエネルギーの元となり、手足を動かしたり、心臓の筋肉を動かして拍動させたり、脳を活動させたり、あらゆる行動の原動力となっている。つまり、ミトコンドリアがイキイキと活発に働いているうちは、人間はエネルギーが溢れるのを感じている。「活力がみなぎっている」という状態は、すなわち、「ミトコンドリアが元気である」という状態なのだ。

 

だが、このミトコンドリアは30代以降、徐々に数が減っていく。誰もがある年齢を超えると、「疲れやすくなってきた」「スタミナが続かない」と感じるのは、体内のミトコンドリアが減少したためである。

 

加えて、ミトコンドリアの働きを弱めるものに、「脱水」「発熱」「感染」がある。たとえば、毎日お酒やコーヒーをたくさん飲む人は、それらに含まれる利尿作用のため、脱水症状を起こしやすい。また、発熱して体温が高くなることも、ミトコンドリアの働きを弱めることにつながる。

 

さらに、さまざまな細菌やウイルスによる感染症もミトコンドリアの状態に影響する上、排ガスや防虫剤、殺虫剤、有機溶剤など、現代人の生活を取り巻くさまざまな有害物質も、ミトコンドリアの働きを減退させるのである。

 

つまり、人間が日々疲労に負けず、若い頃のスタミナをキープするためには、「どんどん減退し続けるミトコンドリアを、いかに元気に保つか」ということが重要なファクターになってくるのだ。

 

 

以上、『ビジネスアスリートが実践する 最強のリカバリー術』を一部改変して掲載しました。

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