akane
2018/12/27
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2018/12/27
『珈琲が呼ぶ』
片岡義男/著(2018年1月刊)
珈琲、音楽、映画などを巡る45編の書き下ろしエッセイ。ジャズ喫茶、あるいは名曲喫茶で読むのに最適の一冊。自宅で読む時のBGMは、ペギー・リーの「ブラックコーヒー」というベタな選曲もいいが、ハンク・モブレイ「リカード・ボサノヴァ」やスタン・ゲッツの「カーニヴァルの朝」などのブラジリアンテイストあふれる名演もいい。
『愛することば あなたへ』
瀬戸内寂聴/著(2018年5月刊)
寂聴さんの膨大な著作・原稿の中から、「愛」にまつわるよりすぐりの言葉を集めた一冊。ジョン・コルトレーンの「至上の愛」を聴きながら一言一言味わうのもいいが、ちょっとヘヴィという方は、ポール・デスモンドの「ライク・サムワン・イン・ラブ」もいい。寂聴さんの言葉が、温かいアルトサックスの音色とともに胸にしみてくる。
『男娼』
中塩智恵子/著(2018年6月刊)
出張ホスト、ウリセンボーイ、ニューハーフヘルスなど、体を売って生計を立てる男たちへのインタビュー集。2018年に死去したベルナルド・ベルトルッチ監督の『ラスト・タンゴ・イン・パリ』のサントラを聴きながら読むと、男たちの心情がガトー・バルビエリのやるせないサックス演奏にのって、より深く胸に迫る。
『一生困らない 女子のための「手に職」図鑑』
華井由利奈/著(2018年8月刊)
パティシエ、ホテルウーマン、薬剤師、ネイリストなど、女子に人気の仕事を、700人以上の取材を元に、働きやすさ・続けやすさ・条件の良さなどの観点から徹底調査した一冊。一見BGM不要の実用書だが、ナット・アダレイの「ワーク・ソング」を流しながら読むと、仕事の厳しさと、それゆえに得られる喜びが理解しやすい。娘と一緒に読みたいという方は、ルイ・アームストロングの「ハイ・ホー」がオススメ。歌詞のIt’s home from work we go.のところは、日本語盤の「仕事が好き」に置き換えて。
『日本史は逆から学べ 近現代史集中講義』
河合敦/著(光文社知恵の森文庫 2018年11月刊)
ややこしくなりがちな近現代史の因果関係を、現在から過去へと時系列をさかのぼり、推理小説を読むように解きほぐした一冊。マイルス・デイヴィスの「タイム・アフター・タイム」の、酸いも甘いも噛み分けた歌心あふれるトランペットが、歴史本に実によく合う。あるいは、フランク・チャックスフィールド・オーケストラの「ひき潮」の、ゆったりして、かつ、どこかもの哀しい演奏も、歴史の登場人物に思いを馳せるのに最適。
森岡純一
光文社 ノンフィクション編集長。1989年、光文社入社。販売部、カッパ・ブックス、FLASHエキサイティング、光文社新書を経て現職。
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