「ひとり」が怖い私たち――もしかして、学生の 価値観のまま大人になってる?
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精神科医・水島広子先生の最新刊『続「他人の目」が気になる人へ ~ひとりがラクになるヒント~』より、一部を抜粋してご紹介します。
「他人の目」から自分を解き放ち、「ひとり」でも心地よくいるためのヒントが満載です!

 

 

「友達が少ない=人間としての魅力がない」という思い込み

 

そもそもなぜ私たちはこんなにも当たり前のように、「ひとりでいる人は、寂しい人」「友達の『数』が重要」などという考えを信じてしまっているのでしょうか。

 

小学校中学年~高校生くらいの感覚としては理解できます。

 

小中学生は、基本的に、閉鎖空間の中で、行動様式としてはほとんど自由のない「群れる」生活を強いられているからです。特に女子は、小学生中学年~高学年くらいから、本格的に群れ始めます。これは中学生になっても、強化される一方です。

 

いじめの多さも、ここからある程度、説明することが可能でしょう。

 

基本的には常に一緒にいて、同じ課題を与えられ、一緒に行動しなければならないので、「それぞれの人が違う」という、人間としての多様性に目が向かなくなってしまうのです。

 

この時期に、「それぞれの人が違う」「それぞれの人に事情がある」ということをきちんと学んでおけば、その後の人生もずいぶんと変わるはずです。人を簡単に決めつけたりすることもなくなるでしょう。このあたりは教育に求めたい役割です。

 

「ひとり=おかしい」は高校生くらいまでの価値観

 

閉鎖空間における団体行動では、それぞれの多様性よりも、「性格がよければ好かれる。性格が悪いとはぶかれる」という、極めて単純な図式ができてしまいます。

 

この時期には、まさに、「友達でいること」と「一緒に行動すること」、そして「好かれていること」が一致しているのです。

 

「ひとり=おかしい」という見方は、本来ならば、閉鎖空間での団体行動を求められる、高校生くらいまで(高校によっては群れないところもあります。群れるピークは、中学生かなと私は思っています)の価値観なのです。

 

※本書では、この後、「中学生レベル」などという言葉を使っていきますが、それは中学生を蔑視する意図ではなく、現状の、多様性を尊重できない多くの教育現場を念頭に置いて使っている言葉です。

属性としては中学生でも、「それぞれの人が違う」ということをきちんと受け入れている人は確かに存在しており、そういう人までひとからげに「中学生レベル」と呼ぶつもりはありませんので、誤解をされないようにお願いいたします。

 

私たちは学生時代の価値観から脱却できていない?

 

さて、ここに、「ひとりでいたくないとき」の例について、健康な現役女子高校生が書いた文章があります。ご本人の許可を得て、ご紹介します(※以下、抜粋になります)。

 

【ひとりでいたくないとき】

 

・教室を移動する際に、ひとりになるのが嫌だ
理由は、通りすがりの人たちに、友達がいないと思われるのが嫌だから。友達がいないと思われると、つまらない学校生活を送っていると思われる。悲しい人だと思われる。性格があんまりよくないとか、つき合いづらい性格だと思われる。

 

・お昼休み、お弁当をひとりで食べるのが嫌
理由は、みんなが騒がしくやっているのに、自分だけ寂しいから。
お昼休み中ずっと話さないと疲れるから。

 

・先生の話で分からないところがあるとき
先生の話を聞いているだけではわからないこともある。
友達に聞いてみないとわからないこともある。

 

・部活動
部活とかは友達がいないと楽しいものじゃない。

 

・トイレ
トイレに行くときにひとりなのが嫌だ。友達がいないと思われるから。
だから、連れションが発生する。

 

これらは小学校、中学校、と経験してきた高校生の言い分です。

 

しかし、ここに書かれたことは、驚くほどに、「他人の目」が気になって「ひとり」を怖がる、大人の悩みに、近いと思いませんか?

 

だから「ひとりでいるのが嫌」というのは年齢にかかわらず普遍的な認識なのだと言いたいわけではありません。

 

ここで提起したいのは、

 

「『ひとり』になることに抵抗があるのは、学生時代の価値観から脱却できていない、『本当の大人』になっていないということではないか」

 

という視点なのです。

 

※この記事は、『続「他人の目」が気になる人へ』(水島広子)をもとに作られました。

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続「他人の目」が気になる人へ

続「他人の目」が気になる人へひとりがラクになるヒント

水島広子(みずしまひろこ)

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