akane
2019/07/29
akane
2019/07/29
糖質過剰症候群を少しでも少なくするために、4つの勝手な提言を行いたい。
世界の様々な国で、肥満やメタボリックシンドローム、糖尿病などが大きな問題になっており、メキシコやアメリカやイギリス、アジアではタイやフィリピンなど、いくつかの国ではすでに砂糖税が導入されている。甘味料を加えた飲み物に対する課税がほとんどである。
私は、これでは健康に対する効果が限定的だと考えるので、砂糖、異性化糖を添加した全ての飲食物に税金をかけるべきだと考える。
100%フルーツジュースでも糖質過剰症候群の原因になり得ることや、果糖の毒性を考え、飲み物に関しては砂糖などを添加していなくても、100ml当たり糖質が5グラム以上含まれているものには課税する。
本来であれば「糖質税」としたいところであるが、お米や、パンなどの小麦粉製品に税金をかけることはハードルが高すぎる。まずは「砂糖税」を早急に導入する方が重要である。
「ソーダ税」と呼ばれる、甘味料入りの飲み物に対する税金をかけた米・カリフォルニア州バークレーでは、税金の導入前と比較して、そうした飲み物の消費が約半分になった。
税金を導入していない近隣の都市と比較すると、甘味料入りの飲み物全体でも52%減少し、フルーツジュースでさえ36%も減少している。
税金を導入していない地域ではスポーツドリンクの消費は増加しているが、税金導入で60%の減少である。
スポーツドリンクは不必要な飲み物であり、決して健康的ではない。その代わりに水の消費が29%増と大きく増加している。非常に良い方向に向かっていると思われる。
(Lee,MM. et al. Sugar-Sweetened Beverage Consumption 3 Years After the Berkeley, California, Sugar-Sweetened Beverage Tax. Am J Public Health. 2019,Feb 21:e1-e3.)
日本でもぜひ、早く導入すべきである。
子どもたちが自由に砂糖、異性化糖を添加した飲食物を手に入れることができないように、学校はもちろんのこと、子どもが参加するイベント、子どもが入場できるスポーツ施設や映画館などの娯楽施設において、砂糖、異性化糖を添加した飲食物の販売を禁止する。
コンビニなどでも、砂糖、異性化糖を添加した飲食物は、保護者同伴でなければ購入できないようにすべきである。
ニュージーランドの一部の地域では、すでにスーパーマーケットなどでの砂糖、異性化糖を添加した飲み物の子どもへの販売を中止しているところもある。
チリでは学校でのジャンクフードの販売は禁止され、シリアルなどのパッケージにキャラクターを使用したり、おもちゃ付きのお菓子を販売することを禁止している。さらにジャンクフードをテレビ番組や若者向けのウェブサイトで宣伝することを禁じている。
日本でも、タバコなどと同じように、砂糖、異性化糖を添加した飲食物のテレビでの宣伝は、全面禁止または時間規制を設けるべきである。
砂糖、異性化糖を添加した子ども向けの飲食物へのキャラクター使用も全面禁止する。もちろん、おもちゃをエサにして子どもを砂糖、異性化糖を添加した飲食物へ誘導することも全面禁止である。
子どもの頃からの、糖質に関する食育は重要である。
病院の中に入っている売店やコンビニ、レストラン、自動販売機で、タバコやアルコールを提供しているところは皆無だと思われる。
しかし、健康に甚大な影響がある糖質に関しては、豪華なラインナップが取り揃えられている。あまりにもおかしい。
日本の病院では、病気の人であっても、医師が制限の指示を出していない限り、糖質入りの飲食物を自由に購入し、摂取することができる。
イギリスのある病院では、砂糖、異性化糖を添加した飲み物の販売を禁止し、患者や家族、さらに医療従事者に提供される食事への、砂糖、異性化糖の添加を中止している。またこの病院のレストランでは、低糖質のメインコースも提供されている。
日本でも全ての病院で、砂糖、異性化糖を添加した飲食物の販売を全面的に禁止し、病院食も糖質を制限すべきである。
ある糖尿病の人がこんなことを言っていた。
「入院して病院の食事を摂ったら、いつもよりも血糖値のコントロールが悪くなった」。
これが現在の病院食の現状である。カロリーは制限されていても、糖質が制限されていないので、食後高血糖を簡単に起こしてしまうのである。
厚労省が発表している日本人の食事摂取基準では、2019年4月現在、摂取エネルギー全体に対する割合で、タンパク質13~20%、脂質20~30%、炭水化物(糖質)50~65%となっている。
また食事バランスガイドでも、主食(ご飯など)を、白米で言えば1日4杯程度摂取することを推奨している。
しかし、このような摂取エネルギーに対する割合や食事バランスなどは全く根拠がない。だからこうした摂取基準などは撤廃すべきである。わからないことはわからないとはっきり言うべきである。
根拠のないことを国が推奨すると、病院でもそれに従わなければならなくなるので、病院では患者に糖質たっぷりの食事を平気で提供する。学校給食でも糖質たっぷりである。国が率先して方向転換をすべきである。
以上が私からの提言である。どれも難しいものではない。実際に導入されている国や地域があるのだから。
しかし、ものすごい反対勢力がいることは確かであるので、実現するには相当な年月が必要かもしれないし、不可能かもしれない。
実現を待っているわけにはいかない。だから、自分で考え、自分で行動しなければならない。
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以上、『「糖質過剰」症候群――あらゆる病に共通する原因』(清水泰行著、光文社新書刊)から抜粋・引用して構成しました。
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