ryomiyagi
2020/08/04
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2020/08/04
<前編>に続き、東武伊勢崎線をさらに北上していこう。
新越谷の次が越谷で、その次が北越谷と、乗り慣れない人にはどれがどの駅だか分かりづらいが、その中で急行が唯一止まらないのが北越谷。
こういう駅にこそ、地域密着の店舗があるというもので、駅から大通りに出たところにある天狗北越(きたこし)ラーメンは、40年以上前からこの界隈の人気店として君臨している。
以前はラーメンショップ天狗と言っていたが、いわゆるラーショのような豚骨醤油スープではなく、若干背脂が浮くものの、あっさりとした醤油ラーメンがウリ。
麺は太めのぴろぴろ平麺で、スープとの相性がよく、チンゲンサイがいい箸休めになっている。
焼肉丼とのセットが人気だが、こちらの真骨頂は飲める中華店としての実力。
メニューがスープ餃子、あんかけチャーハン、雑炊と多岐にわたり、ビールのアテとしての威力は絶大だ。
一ノ割(いちのわり)駅からも春日部駅からもやや離れたエリアに、井之上屋というラーメン屋があった。
外観は木目調で、2000年代に発生した郊外型こだわり系の店らしさがそこかしこから漂っていた。
あっさりしていながら、こだわりの食材で奥行きのあるスープが出来上がっているというと、よくありがちなラーメンが想像されよう。
が、その通りではありながら、金色に輝く透明度が半端ない塩スープからは想像を遥かに超えて、カツオの魚介ダシと鶏ダシの旨みが押し寄せてくる。
具に水菜とは珍しいが、これがスープにいいアクセントになっている。
郊外の実力店として名を馳せ、一時は東京台東区に出店したが、しばらくして撤退してしまった。
こういう店は環境が変わると味も変わりやすいので、この場所で地道に続けてほしいと思っていたら、2017年に「武麗舞(ぶれいぶ)」という店に変わったという。
創業者に代わって井之上屋を取り仕切っていた二代目店主がリニューアルした店とのこと。そうして受け継がれ街に根付いていくのは実に頼もしい。
春日部駅は野田線と伊勢崎線が交錯する東武きってのターミナル駅のはずなのに、駅舎がかなりボロい。
さらに狭いホームに狭い通路。
その上、駅の南北(表示は東口西口だが方角的には南口北口だと思うのだが)を繋ぐ自由通路がない。なのに踏切もない。
駅前ロータリーには「立体交差実現を!」と書かれた立て札があるが、その前に駅舎のリニューアルに伴う自由通路を造ってほしい。
そんな駅の北側へ迂回して地下道を抜け出て、北へまっすぐ伸びている県道を進む。
1kmほど先に突如、読めない漢字、しかもなんとも言えない独特のうねるようでシャープなような書体で書かれた看板がババーンと出てくる。
「羅布乃瑠沙羅英慕」は栃木を中心に北関東や埼玉に展開する喫茶レストランチェーンだが、まずほとんどの人が「ロブノオルサラエボ」と読めないだろう。
いざ店の前に来ると、ミステリー小説にも出てきそうなゴシックな洋館が露わとなる。
扉を開けるとすぐ店内ではなく、アンティークな置物が並んだ部屋がワンクッションあって、その先で受付となる。
次に驚くのが客の数。店内は人で溢れ返っている。土日に限らず待つのもザラ。
店内は薄暗くアンティーク調で統一され、コーヒーからパフェなどの甘味、トースト系の軽食、それにパスタやハンバーグといったガッツリ食えるものまでかなり充実している。
ならばとハンバーグを頂いたが、粗く挽いたパティで食感がかなりワイルド。肉汁も結構出てくる。
和風ソースが秀逸で、ワインのようなコクが強く、パンに染ませてあっという間に完食。
コーヒーにもかなり力を入れており、セットで頼んだアイスコーヒーは銅マグで登場。
自社焙煎で濃いめで豆をたっぷり使ったしっかり味。量も多めで2杯目からは100円で飲めてしまう。
その代わり1品の値段は高めだが、全国チェーンのファミレスと違って、安さで集客を目指すのではなく、子育ても落ち着いた女性が友だちとゆっくり食べて喋りに来るといった、いいものでゆったり過ごすというニーズに応える存在となっている。
珈琲屋OB(本店は八潮)が成立するのに似て、コメダ珈琲や星乃珈琲店が成功したコンセプトを既に沙羅英慕は先んじていたのだ。
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