根性論は役に立たない!ケント・ギルバートが語る「日本人が自信を取り戻す」環境作り
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日本人はなぜ自信がないのか? 自信を取り戻すためにはどうすればよいのか? 日本愛に満ち溢れた国際弁護士のケント・ギルバートと、国内外で活躍する「ほめ育」コンサルタントの原邦雄の二人が、そんな日本人の自信について徹底議論した『日本人の自信を取り戻す「ほめる力」』が刊行になりました。刊行を記念し、書籍から一部を公開します。

 

単なる根性論は役に立たない

 

ケント 日本には、ひたすら「根性」で耐えることが素晴らしいという考え方がありますが、私は根性なんて役に立たないと思います。それは単に心や体に負担をかけて、無理をしているだけでしょう。
特に日本のスポーツ界に多い根性論のせいで、かつて「怪物」と呼ばれた読売ジャイアンツの江川卓投手は肩を壊してしまいました。根性で痛みに耐えたりせず、早く手術を受けていれば5~6年は選手生命が延びたと思います。それを周りの人が彼に根性論を押しつけて、完全にダメにしてしまいました。あるいは、自分で自分を追い込んだのかもしれません。

 

 単なる根性論には害が多いですね。

 

ケント 私は根性よりも、目標に向かって頑張る経験を持つことの大切さを訴えたいです。目標に向かって頑張るという、そういう意味での根性ならいいと思います。
私は若いころに約2年間、日本で末日聖徒イエス・キリスト教会の宣教師として主に九州で活動していた時期がありました。その経験から多くのことを学びました。

 

 街頭や個別訪問で布教活動をされたのですか? 大変なご苦労があったのではないでしょうか。

 

ケント はい。大変でした。しかしそれからの人生の土台になりました。
まず6年前に、日本で活動する宣教師を管理する伝導部会長から聞いた話をさせてください。彼によると、もっとも伝導に成功する宣教師は、子どものころに音楽かスポーツを経験した人だというのです。なぜ音楽やスポーツを経験した人が布教活動で一番成功するかというと、音楽やスポーツの上達というひとつの目標に向かってひたすら努力し、そして目標を達成した経験を持っているからだということでした。
ちなみにもっとも布教活動で成果を出せないのは、子どものころに朝から晩までテレビゲームをしていた人だそうです。そのような人は、目標なしに楽しい日々を過ごしてきただけです。集団行動を通して協力することや、対人関係のスキルを磨くことができていないので、過酷なハードワークに挫けてしまうのです。体力的にも精神的にも。

 

 たしかに音楽やスポーツは、目標を立てやすいですね。そして、そこに到達するために必要な努力もはっきりしているし、そして自分が目標を達成したことも実感できます。

 

目標を達成した経験から本物の自信が身につく

 

ケント まわりに認められてほめられることもあって、努力して目標を達成した経験からは本物の自信が身につきます。そして、大人になっても困難な問題から逃げずにチャレンジできるようになるわけです。
実際、私は最後の半年、長崎県佐世保市で布教活動をしていました。真夏の佐世保はとんでもなく暑いうえに坂道が多くて大変でした。それまでは、日本語や異文化に慣れるのに苦労しましたが、それでもひたすら約2年間歩き回りました。
お陰様で、この佐世保での最後の6ヶ月間には大勢の方に改宗していただくことができました。その方たちと、そして約2年間一緒に頑張った宣教師仲間とは、一生続く深い友情を得ることができました。皆、人生の同士です。

 

 ことわざにある「かわいい子には旅をさせよ」ということかもしれませんね。「根性を鍛える」よりも「苦労する経験」が人生には大切というような。

 

ケント ある程度の苦労をすることは、人間の成長にとって本当に大切だと思います。これに関連して、昔、ある植物学者の方に「共生の原理」というものを教えていただ
きました。
人権を語る方々にこの言葉がよく使われます。しかし、「共に生きる」と説明しても、本来の意味が伝わりません。植物学における「共生」とは、「植物が相互に干渉・影響・妨害することで、結果としてお互いに力強く成長する」という言葉なのです。

 

 それは私も知りませんでした。単純に、「共に生きる」というようなフワッとしたイメージでしたね。

 

理想的な環境80% 必要な苦労は20%

 

ケント 実は植物に100%快適な環境を与えると、飛躍的に成長するかわりに成長が速すぎて茎の中心などが空洞になり、わずかな風でも倒れてしまう弱い状態になってしまいます。
だから理想的な環境は80%くらいにし、20%くらいは成長を邪魔する要素を入れるのが植物にはもっとも良い環境なのだそうです。そうすると植物は多少苦労しながらゆっくり成長して茎の中心まで硬くなり、風が吹いても倒れない丈夫な状態になるといいます。

 

 非常に面白いお話です。よく人間でも苦労を知らずに大人になり、打たれ弱い人のことを「温室育ち」などと言いますね(笑)。

 

ケント 植物は過酷な環境で自分を守るために栄養素と色素を作ります。だから、論理的に温室育ちの植物は栄養価が低いと言われますが、技術が進み、温室で十分な栄養素や光を与えれば、畑育ちと変わらず栄養的でおいしい野菜が作れます。品種改良されているので、見た目がきれいで味もいいのです。
しかし、自然の免疫力がないので、病原菌がいったん入ってしまえばそれがすぐに広がり、植物は全滅してしまうそうです。このことは、温室の事業を取材したときに農家の方に教えてもらいました。私が温室の外で一回くしゃみをしただけで、温室の中には入れてもらえませんでしたよ。
人間にも同じことが言えると思います。子どもに苦労も失敗もさせず、そもそも失敗の機会を与えずにすべて親の命令どおりに育てたら、本当にダメですね。人生において必ずぶつかるさまざまな試練を乗り越えるための、いわゆる「免疫力」、つまり「精神面」が十分に育たない可能性が高くなります。

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ケント・ギルバート/原邦雄

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