ryomiyagi
2021/12/15
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2021/12/15
それというのも、ボリビア、パラグアイ、アルゼンチンにまたがる乾燥した大平原「グランチャコ」の中の、そのまたいちばん乾いた場所で、トゲだらけの低木やサボテンに囲まれてくらしているからだ。
1975年に発見されたばかりで、それまでは化石しか見つかっていなかったチャコペッカリーのとくちょうは、体とふつりあいに大きい頭、ふさふさの大きな耳、ごわごわの体毛、細い小さな脚、先のとがった蹄、そしてブタに似た鼻だ。この鼻でサボテンを転がして、トゲを抜いてから果肉を食べる。鋭く硬い葉をもつ、アナナスの根まで食べる。ペッカリーには胃袋がふたつあるから、そんな固い食べものも、ちゃんと消化できる。腎臓も特別製で、サボテンにふくまれる酸を分解している。お気に入りのおやつは、しょっぱくておいしいアリ塚。ぺろぺろなめて、だいじな塩分やミネラルをとる。植物しか食べないわけではなく、小型の哺乳類を食べることでも知られている。
こんなトゲだらけの場所だから、さいわいなことに天敵はほとんどいない。だからチャコペッカリーのいちばんの敵は、野生動物の肉を求めて狩りをする人間だ。チャコペッカリーはごわごわの体毛で身を守りながら、トゲだらけの藪に身をひそめ、周りの景色にとけこんで、じょうずに人の目をくらます。そして、小さな蹄で道のないけわしい森をすばやく進み、追ってくる人間をふりきる。
チャコペッカリー
学名:Catagonus wagneri
カテゴリー:危機――野生における絶滅のおそれが非常に高い
成熟個体数:不明
生息場所:南米(アルゼンチン、ボリビア、パラグアイ)
脅威:生息地の破壊が主な脅威。そのほか、乱獲と病気も脅威になっている。
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