2019/11/05
小説宝石
『熱源』文藝春秋
川越宗一/著
明治維新以降、和人たちの同化の圧力にさらされた樺太の地で生まれた、アイヌたちと一人のポーランド人の絆。少年期を北海道で過ごし、20代で樺太に戻り指導者となったヤヨマネクフ。
未遂に終わったロシア皇帝暗殺計画に加担したとして流刑になったサンクトペテルブルグの学生、ブロニスワフ・ピウスツキ。樺太で出会った二人の交流を軸に、歴史の変動に翻弄される人々の姿を描く。
脇役に至るまでみな魅力的、それぞれの熱い思いを汲み取って引きつける『熱源』。
『天地に燦たり』で松本清張賞を受賞した著者の第二作である。
『熱源』文藝春秋
川越宗一/著