ryomiyagi
2020/02/14
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2020/02/14
2019年はセリーグを制覇した巨人だが、精神的支柱としてだけでなく5番打者や代打の切り札としても活躍していた阿部慎之助が引退し、後半戦から活躍していた長打力のあるゲレーロも退団。これらによる戦力ダウンは否めない。
また、ロッテから移籍を表明した鈴木大地の獲得にも失敗し、ストーブリーグはなかなかうまくいってなかったと言えるだろう。
しかし、現役メジャーリーガーのジェラルド・パーラの獲得によって打線の核を坂本、丸、岡本、パーラの4選手で確立させていける目処はある。
個人的には、パーラの+aとして、またゲレーロの退団で火力不足が否めないことや相手にプレッシャーを与えるためにも、6番7番に置ける「右の長距離砲の外国人選手」を獲得して欲しいところだ。
二塁手もポイントになる。昨年は吉川尚輝が素晴らしいスタートを切ったものの、離脱後はほとんど出場できず、田中俊太、山本泰寛、若林晃弘といった選手をローテーションする運用をしていた。今年はリスクを考えた上で吉川尚輝をメインではなく、+aと捉えた運用方法で戦っていくのがベターではないだろうか。
特に田中俊太は上手く試合勘を保ち続けることができれば、併用としてもかなりの効果を見込める。
また捕手は、昨年同様に守備面で頭ひとつ抜けている小林誠司を中心に、炭谷銀次郎や打力のある大城卓三の3人で回していくのがよりよい選択肢である。
その他には、岡本和真の三塁手固定化の案も出ている中、野手陣の状況を見つつどう運用していくかが今年の鍵となる。夏場には東京五輪がある中で、チームの顔である坂本勇人のコンディションに対するマネジメントも上手く行なっていきつつ、シーズンを戦っていくことも優勝への必須条件だろう。
投手陣の課題はやはり、昨年キャリアハイで投手三冠に輝いた山口俊のメジャー移籍によって抜けた穴をどう埋めていくかだろう。
その解決策として菅野智之の復活は必須条件である。昨年はシーズン序盤から例年ほどのキレやボールの強度、スピードがなく苦しんだが、菅野の復活なくして巨人の連覇が厳しいのは自明である。
他の先発投手では、5回まで計算できるメルセデスのさらなる飛躍や先発転向案もあるデラロサ、先発として復帰案がある田口麗斗、新外国人のエンジェル・サンチェス、昨シーズン終盤から台頭を見せた戸郷翔征といった面々がローテーションの軸として期待されている。
特にデラロサは、昨年担っていたクローザーはもちろんのこと、先発としても期待値が大きいのを見ると、投手では菅野の次に欠かせない投手と言っても過言ではないだろう。
中継ぎ陣は、昨年復活してプレミア12でも活躍した大竹寛や昨年台頭した中川皓太、実績充分の澤村拓一、左の中継ぎとして今年も期待される戸根千秋などを軸に回していきたいところだ。中でも澤村は、デラロサの起用法次第ではクローザーを任せられることや、オープナーとして登板する機会もあるだろう。
懸念材料は、計算可能な左のリリーバー不足だ。
昨年は中川がフル回転していたが、シーズン終盤から勤続疲労が投球内容に現れていた。加えて田口の先発復帰、戸根のシーズンオフの手術などもあり、高木京介にかかる負担は昨年以上になる可能性もある。
昨シーズンの開幕前にチームの大きな課題点として挙げられていたコマ不足の救援陣を上手く運用してリーグ優勝に導いた原監督だが、その手腕が今シーズンも問われるのは間違いない。
山口俊という勝ち頭が抜けた巨人だが、ここ数年では広島や西武が、エースが移籍した直後のシーズンで優勝している。それを踏まえると、「野手のコア」にあたる選手の活躍度合いが、巨人が優勝できるかどうかに大きく関わるだろう。
例えば、2015年シーズンオフにエースの前田健太が移籍した広島だが、2016年は鈴木誠也の台頭などによってリーグ優勝した。
2015年広島打線と投手陣
打線
8丸佳浩 打率.249 19本 63打点 OPS.777
4菊池涼介 打率.254 8本 32打点 OPS.640
9シアーホルツ 打率.248 10本 30打点 OPS
3新井貴浩 打率.275 7本 57打点 OPS.733
7エルドレッド 打率.227 19本 54打点 OPS.781
5梵英心 打率.237 6本 27打点 OPS.683
6田中広輔 打率.274 8本 45打点 OPS.737
2會澤翼 打率.246 6本 30打点 OPS.699
主な先発陣
前田健太 15勝8敗 206回1/3 防御率2.09
ジョンソン 14勝7敗 194回1/3 防御率1.95
黒田博樹 11勝8敗 169回2/3 防御率2.55
福井優也 9勝6敗 131回1/3 防御率3.56
主な救援陣
中崎翔太 69試合 0勝6敗 11HP 11S 防御率2.34
大瀬良大地 51試合 3勝8敗 22HP 2S 防御率3.13
ヒース 43試合 3勝6敗 13HP 防御率2.36
一岡竜司 38試合 2勝4敗 1S 9HP 防御率4.14
2016年広島打線と投手陣
打線
6田中広輔 打率.265 13本 39打点 OPS.739
4菊池涼介 打率.315 13本 56打点 OPS.790
8丸佳浩 打率.291 20本 90打点 OPS.870
3新井貴浩 打率.300 19本 103打点 OPS.857
9鈴木誠也 打率.335 29本 95打点 OPS1.015
7エルドレッド 打率.294 21本 53打点 OPS.900
5安部友裕 打率.292 6本 33打点 OPS.756
2石原慶幸 打率.289 0本 17打点 OPS.526
主な先発陣
ジョンソン 15勝7敗 180回1/3 防御率2.15
野村祐輔 16勝3敗 152回2/3 防御率2.71
黒田博樹 10勝8敗 151回2/3 防御率3.09
主な救援陣
中崎翔太 61試合 3勝4敗 34S 10HP 防御率1.32
今村猛 67試合 3勝4敗 2S 25HP 防御率2.44
ジャクソン 67試合 5勝4敗 42HP 防御率1.71
ヘーゲンズ 50試合 7勝5敗 24HP 防御率2.92
2015年は前田健太、ジョンソン、黒田博樹といった軸となる投手を擁して、この年日本一に輝いたソフトバンクに交流戦で勝ち越したが、救援陣の力不足や打線のバランスの悪さからBクラスに終わった。
そこから前田が抜けた2016年は、1番から6番まで二桁本塁打を記録するなど、7番までOPSが.700を超える打撃力に、救援陣も態勢が確立されてレベルアップ。
上位打線を長年担っていた「菊丸」こと菊池と丸は安定した成績を残し、MVPに輝いた新井や長打力のあるエルドレッドの活躍、鈴木誠也の台頭や下位打線で3割近い打率を残した安部などがマエケンの穴を埋めてBクラスからリーグ優勝を果たした。
パリーグでも、2018年のシーズンオフに菊池雄星が移籍した西武が2019年にリーグ連覇を果たした。森友哉が捕手として史上最年少で首位打者とMVPを獲得するなど、活躍が光った。
2018年西武打線と投手陣
打線
8秋山翔吾 打率.323 24本 86打点 OPS.937
6源田壮亮 打率.278 4本 57打点 OPS.707
4浅村栄斗 打線.310 32本 127打点 OPS.910
3山川穂高 打率.281 47本 124打点 OPS.985
5中村剛也 打率.265 28本 74打点 OPS.876
2森友哉 打率.275 16本 85打点 OPS.823
9外崎修汰 打率.286 18本 67打点 OPS.830
D栗山巧 打率.256 8本 52打点 OPS.766
7金子侑司 打率.223 1本 34打点 OPS.577
主な先発陣
菊池雄星 14勝4敗 163回2/3 防御率3.08
多和田真三郎 16勝5敗 172回2/3 防御率3.81
榎田大樹 11勝4敗 132回2/3 防御率3.32
十亀剣 5勝8敗 124回1/3 防御率4.42
主な救援陣
増田達至 41試合 2勝4敗 14S 2H 防御率5.17
平井克典 64試合 3勝1敗 21H 防御率3.40
野田昇吾 58試合 1勝1敗 1S 1H 防御率3.51
ヒース 42試合 4勝1敗 13S 9H 防御率2.50
ワグナー 36試合 2勝1敗 1S 9H 防御率4.22
武隈祥太 35試合 1勝2敗 9H 防御率6.37
2019年西武打線と投手陣
打線
8秋山翔吾 打率.306 20本 56打点 OPS.864
6源田壮亮 打率.282 2本 40打点 OPS.674
2森友哉 打率.336 22本 100打点 OPS.959
5中村剛也 打率.297 29本 120打点 OPS.887
D栗山巧 打率.245 7本 51打点 OPS.687
4外崎修汰 打率.267 24本 88打点 OPS.846
3山川穂高 .254 42本 113打点 OPS.912
9木村文紀 打率.223 10本 36打点 OPS.613
7金子侑司 打率.250 3本 32打点 OPS.616
主な先発陣
ニール 12勝1敗 100回1/3 防御率2.87
高橋光成 10勝6敗 123回2/3 防御率4.51
今井達也 7勝6敗 135回1/3 防御率4.32
十亀剣 5勝6敗 102回 防御率4.50
主な救援陣
増田達至 65試合 4勝1敗 30S 7H 防御率1.81
平井克典 81試合 5勝4敗 36H 防御率3.50
佐野康夫 44試合 2勝2敗 2H 防御率4.39
マーティン 41試合 2勝5敗 1S 10H 防御率3.67
小川龍也 55試合 4勝1敗 1S 15H 防御率2.58
平良海馬 26試合 2勝1敗 1S 6H 防御率3.38
2018年、2019年ともに打力が武器のチームだったが、2019年は森、外崎、中村の成績が向上している。一方でエース菊池雄星が移籍したこともあり、先発投手陣は規定投球回数到達者が0人である。菊池に加えて、前年に中軸として3割30本100打点の成績を残した浅村が移籍した穴を12球団トップクラスの「圧倒的な野手力」や救援陣の質量の向上でカバーして連覇を果たした。交流戦明けからは粗削りで好不調の波が激しいものの長打力がある山川を7番に置くことで、下位打線に厚みが出た。これは相手球団からしたら嫌な打線だっただろう。
広島と西武のケースをみると、いずれも先発投手の力が前年よりも落ちた中で、打線のコアの選手がそれをカバーできるぐらいの良い成績を残しつつ、+aの選手がキャリアハイの成績を残す活躍をみせている。
以上を踏まえると、長いシーズンを戦っていく上では「野手力」の重要さが際立っていることがわかる。
今年の巨人が山口俊の穴を埋めて優勝するには、菅野をはじめとした投手陣はもちろんだが、野手陣のコアである坂本、丸、岡本の活躍は必要不可欠であり、+aとして昨年活躍を見せた亀井善行や新外国人のパーラ、(さらに獲得に動けば)新外国人が起爆剤となり、戦力をカバーすることが重要だろう。
巨人ファンとしては、監督である原氏特有の相手をかき回す“原イズム“と言ってもいい采配力や現有戦力を最大限に活かす運用力、坂本、丸、岡本を中心としたリーグトップクラスのコアを揃えた野手力で2連覇してほしい。
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