2010年代後半、球界を代表する打者の特徴【鈴木誠也・大谷翔平・森友哉編】
お股ニキ(@omatacom)の野球批評「今週この一戦」

ryomiyagi

2020/06/25

ついに開幕したプロ野球。今シーズンも様々な打者が活躍を期待されています。
お股クラスタの一人、ゴジキ氏(@godziki_55)に10年代の球界を代表する打者とその特徴を考察してもらいました。

 

 

2010年代後半の野手を見ると、前回紹介した山田哲人と柳田悠岐以外にも2016の年大谷翔平、2019年の鈴木誠也もリーグだけではなく、日本国内において頭ひとつ抜けていた打者だった。

 

数値面で見ると、鈴木は打撃タイトルを獲得する活躍はもちろんのこと、OPS1.000以上を記録している。単年でOPSが1.000以上超えているのではなく、複数回超える成績を残した。また、大谷も二刀流ながらキャリアハイの2016年にOPS1.000以上を記録している。

 

(『なぜ日本人メジャーリーガーにはパ出身者が多いのか』お股ニキ@omatacom 参照)

 

山田、柳田が2015年にトリプルスリーを達成して以降、鈴木や大谷のように身体を大きくしても走れる選手が増えてきたのは確かだ。今後は、トップクラスの選手に求められるハードルはますます高くなっていくだろう。

 

今「メジャーリーグに一番近い男」鈴木誠也

 

近年の右打者では鈴木誠也が、国内トップクラスの打者と言っていいだろう。柳田同様に高打率を残しつつ、長打力も誇る打者だ。元々走力もある選手だが、2017年の足の怪我によって走塁面のパフォーマンスは落ちた。ライトの守備は上手く、打撃面も年々向上している。技術面に関して言えば、泳ぎながらもレフトスタンドに放り込んだり、右方向にも上手くスタンドインしたりする打撃センスは群を抜いている。

 

昨シーズンは、首位打者を獲得したことはもちろんのこと、プレミア12で日本代表の4番として打率.444 3本 13打点といった圧倒的な成績を残して文句なしのMVPを獲得した。

 

今後は、怪我や故障のリスクを考慮した上でプレーをして、良い意味で力を抜きつつ打撃のパフォーマンスを向上させていくことに期待したい。

 

鈴木誠也の右方向、左方向ホームラン

 

 

二刀流として超一流の実績を築き上げた大谷翔平

 

大谷と言えば投手と野手の「二刀流」だが、投手としてのキャリアハイは2015年。15勝、防御率2.24を記録し、最多勝と最優秀防御率を獲得した。一方、NPB時代に野手として最高だったのは2016年だろう。規定打席未到達ながら打率.322 22本 67打点 OPS1.004を記録した。2016年は、パリーグ・球界そのものを支配していたと言っても過言ではない。ソフトバンクが圧倒的有利の中、投打においてリーグトップクラスの成績を残していた大谷を軸に、日本ハムが躍動してリーグ制覇、日本一に輝いたシーズンだった。

 

大谷の場合は、山田、柳田、鈴木と言った規定打席を到達した上での打撃成績ではないが、二刀流として投げてはエースとして二桁勝利、打っては中軸として3割20本という成績を残し、史上初の投手と指名打者でベストナインを獲得。歴史に名を残した。

 

海を渡った2018年は、日本人選手で松井秀喜以来の20本以上となるシーズン22本塁打で新人王を獲得した。2019年もサイクルヒット達成を含む18本塁打を記録し、持ち前の打力を見せた。

 

大谷翔平MLB初ホームラン

 

 

次世代を担う「ワンランク上」の打者は森友哉

 

2020年以降、彼らのように球界を代表する中心選手になりそうな打者として真っ先にあげられるのが、森友哉だろう。

 

昨シーズンは捕手という負担のかかるポジションながらMVPと首位打者を獲得。高校時代から注目されていた打撃センスを活かして、球界屈指の打撃型捕手として西武のリーグ2連覇に大きく貢献した。

 

大阪桐蔭時代から類稀なるミートセンスを誇る森は、ルーキーイヤーから2軍戦で打率.341 5本を記録し、一軍でも打率.275 6本15打点 OPS.945という、高卒1年目という括りで見ると非常にハイレベルな成績を残した。

 

2年目は主に指名打者で出場し、初の規定打席到達。5年目のシーズンは捕手としてベストナインを獲得し日米野球に選出され、打率.385を記録。そして昨シーズン(6年目)は捕手として史上最年少でシーズン100打点やOPSリーグ1位、首位打者、MVPを獲得してリーグ優勝に大きく貢献した。

 

森はまだ若い年齢にもかかわらず既に坂本勇人や柳田のように、足の上げ方を従来のように大きく上げたりすり足にしたりや二段階にしたりと、その打席の対戦投手やタイミングによって変えている場面がしばしば見られる。フォームを崩されてもヒットゾーンに落とせたり、長打にもできる打撃技術やミートポイントのバリエーションの多彩さは、現段階でも球界トップクラスだ。
今後は、シーズン通したコンディションの調整力や怪我なく戦い抜くための耐久性を向上させていくことが、レベルアップへのポイントとなっていくだろう。

 

森友哉対甲斐野央

 

お股ニキ(@omatacom)の野球批評「今週この一戦」

お股ニキ(@omatacom)(おまたにき)

野球経験は中学の部活動(しかも途中で退部)までだが、様々なデータ分析と膨大な量の試合を観る中で磨き上げた感性を基に、選手のプレーや監督の采配に関してTwitterでコメントし続けたところ、25,000人以上のスポーツ好きにフォローされる人気アカウントとなる。 プロ選手にアドバイスすることもあり、中でもTwitterで知り合ったダルビッシュ有選手に教えた魔球「お股ツーシーム」は多くのスポーツ紙やヤフーニュースなどで取り上げられ、大きな話題となった。初の著書『セイバーメトリクスの落とし穴』がバカ売れ中。大のサッカー好きでもある。
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