ゴジキが振り返る2010年代の高校野球(2010年春)
お股ニキ(@omatacom)の野球批評「今週この一戦」

BW_machida

2020/07/22

新型コロナウイルスの影響で中止となった今年の春のセンバツ、夏の甲子園。代替案として「甲子園高校野球交流試合」が開催されることになりました。
高校野球ロスを取り戻すために、お股クラスタの1人でもあるゴジキ氏(@godziki_55)に2010年代の高校野球界を振り返ってもらうプレイバック企画。まずは2010年春のセンバツからスタートです!

 

 

■2010年春のセンバツ 優勝校:興南(沖縄、初優勝)

 

2010年の高校野球界では、沖縄の興南高校や有原航平要する広陵、西川遥輝の智辯和歌山、高い打撃力を誇る日大三などが注目されていた。

 

この大会で優勝した興南は智辯和歌山、帝京などの強豪を倒して決勝へ進出。準優勝の日大三も敦賀気比や広陵などの強豪を倒してきたので、両校ともに実力は申し分なかっただろう。

 

ベストゲームとしてピックアップしたい試合は、無難だが智辯和歌山対興南、準決勝の広陵対日大三、決勝の興南対日大三あたりだろう。

 

智辯和歌山対興南は、まさに「智辯和歌山打線対島袋」の構図となった。
序盤は島袋をうまく攻め立て、プレッシャーをかけていた智辯和歌山だが、興南打線が5回に逆転。終盤も得点を積み重ねて、興南が勝利した。島袋は11奪三振を含む好投でチームをベスト8に導いた。

 

次に、準決勝の広陵対日大三を振り返ろう。広陵は現在は日本ハムのエースである有原航平やオリックスの福田周平といった投打の軸がいる優勝候補だった。特に有原は、準決勝が始まるまでは26回1/3を投げて防御率0.34という圧倒的な成績を残していた。

 

有原は初回から得点の援護を貰えたが、大会終盤の疲労と雨の中というコンディションでなかなか思うような投球ができず、すぐさま追い付かれてしまう。

 

この好カード、大雨の中で日大三のエース山崎福也と有原ともに投げづらいコンディションであったことは否めない。

 

中盤はお互い譲らず、競り合いを見せていて8回に試合が動いた。5対4のスコアで迎えた8回裏、劣勢だった日大三打線は疲れが見え始めた有原を捉え、逆転し、突き放した。この回だけで打者15人で大会タイ記録となる9打数連続安打。これも大会タイ記録となる9者連続得点を含む一挙10点を奪い勝負を決めた。

 

日大三高は、センバツ大会新記録となる105安打を記録し、準決勝では最多連続安打と1イニング最多得点を記録した上で決勝に進んだ。個人記録としてもエースの山崎福也が1大会最多安打を記録するなど投打で活躍を見せた。

 

興南は、前年からエースであった島袋を中心に、この世代を圧倒する勝ち上がりを見せていたことは間違いない。智辯和歌山や帝京と言った強豪を破り、準決勝では明治神宮大会優勝を果たしていた大垣日大を下して決勝に進出。日大三の山崎と同様に、我如古が大会最多安打記録を残した。

 

興南のメンバーは前年夏の甲子園を経験している選手が6人おり、その2009年大会でも今宮健太を擁する明豊高校に敗れたものの、1-2という接戦に持ち込むほどの実力は兼ね備えていた。

 

大会全体を見ても興南高校が盤石だったのは間違いない。エース島袋の他に2番手砂川もレベルの高い投球を見せていた。

 

両校記録尽くめの対決となった決勝、日大三高は2本のホームランを放ち、島袋の直球を跳ね返す力強さをみせた。だが興南はその上をいった。センバツでは派手さこそあまりなかったものの、甲子園慣れしているスタメンの選手を軸に上手な試合運びを繰り広げ、延長の際には日大三高のミスを誘い、勝ち越して初優勝を成し遂げた。

 

この春の優勝は、興南にとって序章に過ぎなかった。総合力が高く強打の日大三と互角の戦いの末に競り勝ち優勝を果たしたことで、彼らの力は一気に伸びていき、夏はさらに圧倒的な強さで勝ち上がりを見せることになる。

お股ニキ(@omatacom)の野球批評「今週この一戦」

お股ニキ(@omatacom)(おまたにき)

野球経験は中学の部活動(しかも途中で退部)までだが、様々なデータ分析と膨大な量の試合を観る中で磨き上げた感性を基に、選手のプレーや監督の采配に関してTwitterでコメントし続けたところ、25,000人以上のスポーツ好きにフォローされる人気アカウントとなる。 プロ選手にアドバイスすることもあり、中でもTwitterで知り合ったダルビッシュ有選手に教えた魔球「お股ツーシーム」は多くのスポーツ紙やヤフーニュースなどで取り上げられ、大きな話題となった。初の著書『セイバーメトリクスの落とし穴』がバカ売れ中。大のサッカー好きでもある。
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セイバーメトリクスの落とし穴

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