ryomiyagi
2020/06/24
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2020/06/24
2010年代後半の野手を見ると、2015年の山田哲人・2018年の柳田悠岐はリーグだけではなく、国内で見ても頭ひとつ抜けていた打者だったことは間違いない。しかも彼らは、自らの実力でチームを優勝に導いた。
数値面で見ると、2人とも打撃タイトルを獲得したのはもちろんのこと、OPS1.000以上を記録している。単年でOPSが1.000以上超えているのではなく、複数回超える成績を残した。
さらに、2010年代前半までは、打力重視のプレースタイルへ切り替えるために身体を大きくした結果、走れなくなる選手が多くなる傾向があったが、柳田・山田の両選手が2015年にトリプルスリーを達成してからは、身体を大きくしても走れる選手が増えてきたのは確かだ。球界全体のトレンドにも影響を与えている。彼らの活躍によって今後は、トップクラスの選手が求められるハードルも高くなっていくに違いない。
まず山田哲人だが、2016年に死球を受けて調子を落とす前は、文句なしで国内トップクラスの右打者だった。キャリアを通じて2015年〜2016年前半の打撃は最高で、いい場面でホームランを放つし、打撃成績も全部門でトップクラスに輝いていた。
また、山田は盗塁センスも群を抜いており、成績が低迷した2017年以外は30盗塁を記録した。さらに、盗塁成功率も毎年.890以上を記録(2015年.895、2016年.938、2018年.892、2019年.917)し、2019年は開幕から33連続盗塁を成功した。
2015年の日本シリーズでは、3打席連続ホームランを記録して勝利に導くなど、球場の雰囲気を一振りで変えるスター性も随所で見られた。2016年前半は、打撃部門全てにおいてランクインし、三冠王も視野に入れるほどのハイペースであった。前述したようにその後のデッドボールで調子を崩してしまったが、以降は復調しつつ3度目のトリプルスリーや30本塁打などを達成。さらには、昨年のプレミア12決勝では決勝ホームランを放つなど、大会中の対応力の高さや大舞台の強さも発揮した。
もちろん現在もハイレベルな選手ではあるが、キャリア全盛期の2015年〜2016年前半と比較したら、良くも悪くも選手として「まとまってしまった」印象はある。まだ若い年齢のため、以前のような打撃スタイルに戻り、さらなるレベルアップに期待したいところだ。
今年のヤクルトは山田を2番に置く構想のようだが、若い頃の打撃スタイルならマイク・トラウトのような感じに置けたものの、変化への適応力が低いことが懸念材料である。
2番打者として適応していくには、山田自身が尊敬する坂本勇人のように良い意味で「大人の打撃スタイル」になっていく必要があるかもしれない。
上記の通り、2015〜2016年前半と比較したら現在の山田は良くも悪くもまとまってしまったが、打撃スタイルがまとまった分、ベテランでありお手本の青木宣親から上手く吸収できるかどうかが鍵になっていくだろう。
2015年日本シリーズ3打席連続ホームラン
山田神日シリ3打席連発 pic.twitter.com/5CLZdGSHSm
— ゴジキ (@godziki_55) July 24, 2016
柳田悠岐は、2015時〜2018年の4年間において2度の首位打者獲得やトリプルスリー達成を含む、4年連続でパリーグトップとなる出塁率、長打率、OPSを叩き出している。
2015〜2017年はポテンシャルや身体能力頼りな部分もあり、(高いレベルで)粗さもあったが、2018年からはフォームが良くなり、再現性をさらに高めて文句なしの国内トップ選手となった。2018年は、日本シリーズや日米野球といった大舞台でサヨナラホームランを放つなど、随所に勝負強さもある選手だ。
懸念材料としては、国際大会に縁がない点である。2015年プレミア12の時はシーズン終盤に怪我をして辞退、2017年WBCはオフに手術した影響で辞退し、2018年プレミア12もシーズン中の怪我の影響もあり、選出されなかった。
MVPを獲得した2014年や2018年の日米野球における活躍を見ると、WBC・プレミア12といった国際大会でどれくらいの成績を残して活躍するか興味深い。特に、2017年WBCの前年となる2016年のシーズンではストレートに対しての打率が.388で両リーグトップを記録していた。
度重なる怪我によって脚力や守備力は落ちてきたが、今後は怪我や故障のリスクを考慮した上で、良い意味で力を抜きつつ、打撃パフォーマンスのさらなる向上に期待したい。
2018年日米野球サヨナラホームラン
凄くいいもの見ました#久しぶりのツイート#侍ジャパン#日米野球 pic.twitter.com/0XrNXB5w6q
— ゴジキ (@godziki_55) November 9, 2018
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