真の主砲となるために。岡本和真の現在地と将来像
お股ニキ(@omatacom)の野球批評「今週この一戦」

ryomiyagi

2019/11/29

今シーズンは原監督の下でリーグ優勝を果たしたものの、日本シリーズではソフトバンクになすすべなく4連敗した巨人軍。日本一を目指す来シーズンへ向けて、課題は山積みだ。
「お股クラスタ」の1人でもある巨人ファンのゴジキ氏(@godziki_55)が主軸選手のシーズンを振り返り、さらなる躍進へのカギを探る。第1弾は若き主砲、岡本和真。

 

 

■春先不調ながらも得意の夏場で活躍

 

今シーズンも巨人の4番に座り、松井秀喜以来の2年連続30本を達成した岡本和真。だが、春先は調子がなかなか上がらず、苦労をしていたのではないだろうか。

 

今年は昨年より身体を大きくしたので、身体が絞れたりキレが出やすくなったりする時期までは速い球への対応に苦戦していたことも原因だろう。

 

守備面でも、新外国人のビヤヌエバがいたこともあり、三塁手としての調整不足のせいかバント処理のチャージが遅れることもあった。ベストコンディションでなかったことは確かだ。

 

さらに今年の場合は、梅雨明けするまで本格的に暑くなる季節がなかなか来ず、得意とする夏場の到来が遅れたのも痛かった。

 

それでも本格的に暑くなってきた8月はシーズン通して唯一の月間打率3割越えを含めた9本塁打 26打点の活躍を見せた。

 

また、9月も月間成績こそ8月に比べて落としたが、同月10日のDeNAとの直接対決では今永昇太からの本塁打を含む2ホーマーを放ち、大一番で4番の重責を果たす貢献をした。

 

 

この試合は9月ながらも横浜市の最高気温は33.9度を記録。試合開始時間の18時でも29度という、9月にしては暑い日の試合だったため、暑い環境に強いという岡本の特長が見られた。

 

岡本は昨シーズンも記録的な猛暑の中、8月は打率.340 8本塁打 28打点の活躍を見せていた。身体にキレが増して調子が増すのはもちろんだが、気温が上昇すればするほど空気が膨張していき空気密度は軽くなり、空気抵抗が減る。すなわち、打球は比較的飛びやすくなる。

 

この時期に本塁打を量産している岡本は今後も間違いなく、シーズンの勝負所となる夏場における頼もしい存在となっていくだろう。それは巨人のさらなる躍進のためにも欠かせないことだ。

 

↓僭越ながら岡本が夏場に調子を上げることや最終的な成績は5月時点で予想していた
(※2019年シーズン成績 打率.265 31本塁打 94打点)

 

 

■巨人の主砲としてワンランク上の選手になるには

 

岡本は昨年のCSでは、打率.056 1打点という成績で短期決戦や勝負強さに対して課題を残したが、今年のCSでは、打率.588 3本塁打 7打点という数字を残して成長を見せた。

 

 

↓CSファイナルでの岡本の活躍も、紅白戦の打撃を見てこのように予想していた

 

 

日本シリーズでは、CSで主に直球を打っていたところをソフトバンクバッテリーに見抜かれていたのが原因か、変化球中心の配球をされてしまい、不甲斐ない成績に終わってしまった。

 

シーズンやポストシーズンでのこのような結果を見ると、岡本が今後さらに上のレベルの選手になっていくには、どのような気温や環境においても安定したパフォーマンスを残していくことが最も求められることだろう。

 

昨年は、初のフルシーズンということもあり、終盤やCSでは疲れもあった上での不調だった。また、今年は身体を大きくしたが、ベストな体型や体重ではなかったことから、身体が絞れる気温になるまでは、なかなか調子が上がらなかった。

 

CSでは残暑や台風の影響もあったおかげかスピードボールにも対応できるぐらいの身体のキレがあり活躍を見せられたが、日本シリーズではCSほどの気温はなく、変化球中心の配球にもついていけていない打席が多々見られた。

 

そして、守備面でも身体のキレの悪さをマークされていたのか、交流戦同様にセーフティを決められる場面や失策もあった。

 

■岡本の未来像はカブスのクリス・ブライアント

 

これらを踏まえて考えると、キャンプ前の自主トレは比較的気温が高い場所で行い、キャンプでは一塁手はもちろんのこと、三塁手や外野手の練習もしつつ調整していくことが必要だろう。

 

昨年の岡本は、守備位置別の打撃成績として一塁手としては打率.291、左翼手としては打率.295を記録している中、三塁手としては打率.480を記録している。長嶋茂雄や原辰徳と言った巨人の往年のスター選手の路線で考えても、三塁手として今後育てていくのも一つの手段である。

 

また、上記の打撃成績や近年の野球のトレンドを見ても、高い水準で成績を維持していることからシカゴ・カブスのクリス・ブライアントのように三塁手を本職として守りながらも、チームの状況に応じて一塁手や外野手もこなす選手として育てていくのもいいだろう。

 

(参照:『セイバーメトリクスの落とし穴』第6章 監督・采配論 ■ポスト分業時代のユーティリティ)
クリス・ブライアントのように3つの守備位置を守りつつ打撃でもさらなる飛躍をとげれば、巨人としては坂本勇人以来の「新しいカタチの生え抜きスター選手」を輩出できるかもしれない。

お股ニキ(@omatacom)の野球批評「今週この一戦」

お股ニキ(@omatacom)(おまたにき)

野球経験は中学の部活動(しかも途中で退部)までだが、様々なデータ分析と膨大な量の試合を観る中で磨き上げた感性を基に、選手のプレーや監督の采配に関してTwitterでコメントし続けたところ、25,000人以上のスポーツ好きにフォローされる人気アカウントとなる。 プロ選手にアドバイスすることもあり、中でもTwitterで知り合ったダルビッシュ有選手に教えた魔球「お股ツーシーム」は多くのスポーツ紙やヤフーニュースなどで取り上げられ、大きな話題となった。初の著書『セイバーメトリクスの落とし穴』がバカ売れ中。大のサッカー好きでもある。
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