akane
2019/04/16
akane
2019/04/16
今回は、元乃木坂46の衛藤美彩さんとの交際が明らかになったり、プロ入り以来続いていた連続出場記録が死球で途絶えたりと、「時の人」となっている埼玉西武ライオンズの源田壮亮選手について書いてみる。
好プレーの度に #源田たまらん のタグが踊ることで知られるように、源田の最大の魅力は驚異的な守備にある。私はアマチュア時代のプレーを見たことはなかったが、2017年札幌ドームでの日本ハムとの開幕戦で、三遊間へのダイビングキャッチとスローイングを見て「これはモノが違うと」直感した。「牛若丸」の異名をとったNPB史上最高のショートストップ、元ロッテ・巨人の小坂誠を彷彿とさせるプレーだった。168センチとやや小柄だった小坂のフィジカル的なハンディも克服した(源田は179センチ)、日本史上最高の守備力を持ったショートの1人と言って過言ではないだろう。2014年頃の坂本勇人とここ2年の源田、全盛期の小坂の誰が1番凄いのかをいろいろ考察してみても面白い。
その守備の凄さはわざわざ私が言葉で形容する必要もない。ただプレーを見てもらえばいいだろう。トヨタ自動車時代からテニスボールで取り組んでいた守備の練習などは、多くの選手にとって参考になると思うので是非見て欲しい。
とはいえ、源田の凄みはただ守備が良いとか野球IQが高いといった話に留まらない。
西武は源田が入団する前の2014〜16年頃、中村剛也や浅村栄斗、秋山翔吾、メヒアらを筆頭に強打者が多いチームだったが、Bクラスに沈んでいた。
曖昧な言い方、「#お股本」(拙著『セイバーメトリクスの落とし穴』)的な抽象的表現をすれば、一発に頼った打線で繋がりに欠け、また内野の守備の乱れ、継投策の稚拙さが目立つチームで、ポテンシャルを活かしきれていなかった。かつて1980~90年代にかけて黄金期を築き、パ・リーグを引っ張ってきた常勝球団らしからぬ低迷期であったと言えよう。
そうしたポテンシャル、いわゆるWARはそこそこ高いが、得失点差の割に結果が伴わない粗さのあったチームを、攻守に渡って「結合」したのが源田壮亮という存在だ。西武が源田の入団後に順位をあげて、昨シーズンはCSでソフトバンクに敗北したとは言え、リーグ優勝したのは決して偶然ではないだろう。
私がその野手論の深さに日々感銘を受けているお股クラスタのNPB脳駆逐bot(@npb_brain)の理論的に言えば、野手中心のチームを構成し、その長打力と強固な内野守備によって投手を助けていくチームを作ることがチーム力の強化に繋がる。だが、今の時代は「#お股本」で書いたようにその一歩上をいく、攻撃力では長打力をベースとしつつもその間にバランサーを挟み、長打だけでなくコンタクトや足を使った総合的な野球、いわゆるトータルベースボールが求められている。そのトータルベースボールの実現に大きく貢献しているのが、源田壮亮という男なのである。
何度も言うように、源田はまずそのショートの守備で、西武の内野陣を引き締めた。プロ野球の世界にショートとして入団してきて、そのままショートをこなせる人間は本当に限られている。まさに選ばれた存在だ。多くの選手がプロ入り後は外野や他のポジションへの転向を余儀なくされているのが、その証左である。
そういう意味で、10代でショートのレギュラーに定着し10年以上ポジションを守り続け全盛期を迎えている坂本勇人は、「天才」としか形容のしようがない。プロでエースピッチャーになれる選手が限られているのと同様に、ショートとして攻守に貢献できるのは、それだけ特別な器を持った選手だけなのだ。逆に言えば、ショートが固まれば守備の中心が固まり、また他のポジションへのコンバート等によってチーム力は自ずと上がっていくものである。
西武も全く例外ではなく、NPB史上最高クラスの守備力を持つ源田の入団によりショートが固まり、粗っぽさのあった内野が洗練された。源田のプレーのおかげでセカンドの浅村らの能力もより活きたし、「#お股本」でもそのユーティリティ性を絶賛している外崎修汰はサードや外野、今季は楽天へ移籍した浅村のいたセカンドを守るようになり、守備での穴がなくなった。こうして、圧倒的ではないながらものらりくらりとかわしていく投球スタイルの多い投手陣を、攻撃だけでなく守備面でもサポートしている。
源田の凄みは守備だけに留まらない。トヨタ自動車時代は9番を任されていたそうで、流し打ちのスタイルであまり出塁しなかったから、走力も目立たなかった(披露する機会自体が少なかった)そうである。
ところが、それはプレースタイルを限定されているからであり、引っ張ろうと思えばプロでも引っ張って強い打球を打てると、辻監督ら西武の首脳陣は見抜いていたらしい。
そうした思惑通り、最初は9番としてスタートしたものの、引っ張ってのケースバッティングも出来ると判断されすぐに2番に昇格し、秋山翔吾と浅村の間を結合した。西武は長打型と出塁型の選手が交互に並び、相互作用が働いていたと「#お股本」で紹介したが、源田はその象徴的存在である。
秋山翔吾が出塁すれば打っていって1、3塁を狙う。塁に残れば盗塁を警戒させて投手の集中力を削ぎ、速球中心の配球となった所を浅村や山川穂高らが狙っていったのである。こうした真の「つなぎ役」としてチームを攻守に渡って結合していたのが、源田壮亮という存在である。昨年のリーグMVPは主砲の山川であったが、浅村とともにMVP級の働きをしていたのが源田である。また、その素質を見抜き、獲得・育成した辻監督や西武フロントの彗眼も称賛されるべきであろう。
韋駄天型のスピードスターの全盛期は、短く儚いものである。現在26歳の源田はまさに、全盛期を迎えていると言っていいだろう。その超人的な守備や高い野球IQ、そして恋の行方も見守っていきたい。
株式会社光文社Copyright (C) Kobunsha Co., Ltd. All Rights Reserved.