agarieakiko
2019/10/08
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2019/10/08
CSのキープレイヤーとしてだれか1人を挙げるならば、やはり戸郷翔征だろう。
リーグ優勝を決めた試合ではプロ初登板ながら、4回2/3を2失点に抑える投球をした。
彼の特徴は、巨人の先発投手陣の中でも速い平均球速のストレートと、スラット・スプリット型投球である。
※スラット・スプリット型投球……スライダーとカットボールの中間的性質を持つ球種であり、縦のカットボールとも言える「スラッター」と、なかなか打つのが困難な「スプリット」を軸とした投球スタイル。『セイバーメトリクスの落とし穴』第2章、第3章参照
これによって、2軍だけではなく1軍相手にも高い奪三振率を誇る。
能力はもちろんのこと、個人的に度肝を抜かれたのがメンタル面だ。高卒ルーキーながら、リーグ優勝というプレッシャーがかかる場面で及第点以上の投球をした精神力は特筆に値するだろう。
CSそして日本シリーズで活躍すれば、来期以降はシーズンを通して計算できる存在になることも考えられる。怪我や故障でなかなかローテーションに定着しない畠選手の穴を、今後埋めていきそうな選手である。
今年の巨人の先発ローテーションで、イニングを計算できるスターターは山口俊ぐらいしかいないと言える。
仮に、昨年まで球界のエースとして活躍していた菅野智之の復帰がCSに間に合ったとしても、今シーズンの調子や投球内容を見たら心もとない。「良くて6回ぐらい」を目処に計算していくしかないだろう。
また、メルセデスや前述の戸郷あたりも5回を目処に計算し、残りのイニングを救援陣に任せていくことで、勝利の確率は高まるだろう。
具体的に今シーズンの試合を参考に挙げるなら、クックをオープナーで起用して勝利した試合(9/10DeNA戦)や、マジック2に減らした試合(9/20DeNA戦)からリーグ優勝を決めた試合(9/21DeNA戦)が、短期決戦をする上での理想的な流れや起用法ではないかと見ている。
その他にも、ブルペンデーを設けた試合(9/14広島戦)で澤村拓一が3回をパーフェクトに抑えているのも一つの収穫である。
山口俊以外のスターターは早ければ3回で降板することもありえるので、救援陣では比較的イニングを跨ぐ性能のある澤村、大竹、田口、高木京介といった投手と、1イニングをきっちり抑える中川、クローザーのデラロサを使い分けての起用がポイントになるだろう。
今シーズンの巨人は1~4番である亀井、坂本、丸、岡本は固定できたものの、その後ろの5番打者は固定できなかった。とはいえその状況で、上手く運用しつつ回していたと感じる。
前半戦は主に大城が、急遽一塁に固定された上で5番に座り、5月は打率.342 3本塁打 7打点と活躍をみせた。
初のフルシーズンや慣れないポジションのため、交流戦終盤からは調子を落としていたが、9月には2本塁打と調子を取り戻してきたので、彼もCSのキープレイヤーの1人になるだろう。
また、先日引退を発表した阿部が5番に座る試合も多々あり、おそらくCSでもその姿を見られるだろう。
何より、阿部が出場した試合やその場面の東京ドームは、巨人ファンが一体となりボルテージが最高潮に高まる。チームのムードに追い風を吹かせる意味でも、非常に重要な選手になることは間違いない。
たとえば、阿部自身が400号本塁打を放った試合(6/1中日戦)での勝利をきっかけに、巨人はチームの士気が一気に上がった。9回二死一塁から代打出場して四球を選び、坂本のタイムリーで追いつき、延長を制した試合(8/24DeNA戦)も同様だろう。
今シーズン、セリーグ最優秀救援投手になった山崎康晃からしても、あの場面に阿部が代打で出てきた時の「何かしてくれそう」なオーラや、球場が一体となっていた雰囲気は驚異だったに違いない。
チームはもちろんのこと、ファンや球場の雰囲気を丸ごと変えてくれる選手なんてそうそういない。
最後の花道として、阿部が勝負所や劣勢の場面で打てば打つほどチームやファンが一体となり「阿部を最後に日本一にさせる」という気持ちが強くなり、巨人は阿部と1試合でも多く戦えるだろう。
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