ryomiyagi
2020/06/12
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2020/06/12
昨シーズンに引退した阿部慎之助の存在は、とてつもなく大きかった。ルーキーイヤーの2001年から正捕手としてキャリアを築き、2015年までに7度のリーグ優勝、3度の日本一に導いた。昨シーズンも守備面では限界が来ていたが、打力をいかして優勝に貢献。巨人だけではなくプロ野球の歴代でもトップクラスの打力があり、複数回の優勝、日本一に導いてる捕手である。
そんな阿部が「前任」なのだから、巨人の捕手に求められるハードルが非常に高くなることは必然だ(おそらく、坂本勇人の後釜の遊撃手も似たようなことが起きると思う)。昨シーズンのように、他のポジションの選手がどれだけカバーできるかが鍵になっていくだろう。
阿部が捕手として限界を迎えた2010年代中盤から、巨人は正捕手に課題を抱えてきた。2016年〜2018年は主に小林誠司が正捕手のマスクを被っていたが、ハードルが高すぎて苦労しているように思えた。特に、数字から可視化される打撃面は顕著である。タイトルホルダーだった阿部から守備型捕手の小林に世代交代した際に、風当たりが物凄く強かったのは否めない。
それに追い討ちをかけたのが、マイルズ・マイコラスが試合中に小林に対して激怒したことや、代表戦で千賀滉大のフォークを上手く処理できなかったことだろう。これらの印象で、小林はさらに過小評価されてしまった。
しかし、小林はリーグトップクラスのスローイング・フレーミング・ブロッキングの能力を持ち、総合的な守備力は巨人捕手陣の中では頭ひとつ抜けており、リーグトップクラスの選手である。
課題点としては、打力はもちろんのこと、シーズン通してフルに近い出場をすると疲労が溜まってしまい、パフォーマンスが急激に下がることだろう。その課題点がチームの成績に結びついていたこともあり、2017年のドラフトでは打撃型捕手の大城卓三、2018年オフに炭谷銀次朗を獲得したのではないだろうか。その結果、2019年はシーズン通して、小林の攻守におけるパフォーマンスは持続し、リーグ優勝に貢献した。
大城はその打力を活かされて、捕手以外に一塁手も任されている。打力ばかり注目されているが、スローイング・フレーミングと言った守備面でも水準以上のパフォーマンスは残せており、リード面でも、田口麗斗・CCメルセデス・高橋優貴と言った左投手に関しては優れている。
課題点としては、プレッシャーがかかる場面で随所に見られるディフェンス面のリカバリー力だ。小林やベテランの炭谷と比較したら及ばない部分がある。とはいえ、試合を積み重ねた上での経験値でカバーしていけるため、今後レベルアップしていくだろう。
2018年オフに加入した炭谷は、小林や大城のフォローをする形で出場したが、西武の正捕手として積んできた経験値を活かして、対パリーグの交流戦で優勝争いに貢献する活躍を見せた。
打力のある大城に期待している原辰徳氏は、阿部のような打力がある捕手を軸に回していきたい意図はあるだろう。
また、他球団を見ても、リーグ優勝や日本一になった球団の正捕手は打力のある選手だった場合が多い。近年なら、パリーグ2連覇した西武の森友哉はもちろんのこと、3年連続で日本一のソフトバンクの甲斐拓也も打撃がいい選手だ。さらに、セリーグ3連覇を成し遂げた広島の會澤翼も2年連続ベストナインを獲得するぐらい打力がある。
前任の正捕手だった阿部や他球団の正捕手を見ても、打力でアドバンテージを持つことも非常に重要であることから、大城への期待が大きいことは確かだ。
現状は、メルセデスを中心とした左投手が先発する試合を中心にスタメンマスクを被る機会が多くなると思うが、徐々に経験値を積んだ上で、試合数を増やしていきたいところだ。その際に、対抗馬の小林のようにプレッシャーのかかる場面に対する間の取り方やリカバリー力を向上させられるかどうかが、大城が今後正捕手になれるかの鍵である。
打撃面では、ポテンシャルを見てもシーズンを通して、打率.
次に小林だが、課題としてはやはり打撃面である。昨シーズンも3選手の運用体制ながら、打率は唯一.250を切った。現状は、守備面でかなりのアドバンテージがあることから、打率.250以上は残していきたいところである。打力の向上によって、首脳陣からの信頼も得て正捕手として成長してほしい。
昨シーズン、捕手の運用が上手くいった一番の要因は、「バランスの良さ」だったのではないだろうか。大城が阿部や西武の森ぐらいの圧倒的な打撃成績を残し始めたら、また別の話にはなるが、先発投手との相性の良さや直近の調子なども重要である。
2018年のシーズンでは、
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